出版社内容情報
周縁にとって、近代とは、発展とは何だったのか? 本国は周縁を使い捨てにし、そこで核実験や放射性廃棄物の投棄を行う。それを可能にした力の装置は、ヨーロッパとポリネシアが出会ってから現在に至るまで働いている。そして世界の至るところで、核開発の罠は張り巡らされている。ベンヤミン、アーレント、ヴェイユ、レヴィ=ストロースらと、現地で日常を生きる人々の思想を辿りながら、パリから遠く離れた海外領土の東ポリネシアで、核実験を可能にした入れ子状の権力の仕掛けを、そして人々の気づきを、圧巻のスケールで描き出す民族誌。
内容説明
人々はそこで生きる。本国から遠く離れて。福島から東ポリネシアへ。巨大なマシーンの一部として、至るところに仕掛けられた原子力=核開発の罠。日本で、世界中の後背地で、同じことが起きている。周縁にとって、文明とは、進歩とは、近代とは何だったのか?
目次
1 太平洋
2 コンタクト
3 神の死と主権の秘密
4 痕跡たちの間で
5 遠くから島を振り返る
6 無知の発展について
7 人間と社会と自然
著者等紹介
内山田康[ウチヤマダヤスシ]
1955年、神奈川県生まれ。専門は社会人類学。国際基督教大学を卒業後、東京神学大学を中退してアフリカで働き、スウォンジー大学、イースト・アングリア大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学ぶ。エディンバラ大学講師、筑波大学教授を経て、筑波大学名誉教授。研究テーマは、南インドの不可触民の宗教と政治、芸術の人類学、国家、モダニティ、マージナリティ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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