出版社内容情報
ハルマゲドン誘発のため生物化学兵器テロに踏み切ったオウム真理教。オウムに至る宗教・哲学・政治思想の流れを精査するとき、我々は近代の暗黒面に直面して戦慄する。本書刊行後の調査・研究から判明したオウムの実態と日本社会の歪みを追記として増補。
内容説明
近代はなぜ「カルト」を生むのか?超人類によるユートピア国家の樹立を目論み、ハルマゲドン誘発のため生物化学兵器テロに踏み切ったオウム真理教。オウムを現出した宗教・哲学・政治思想の流れを精査するとき、われわれは近代が内包する漆黒の闇に直面して戦慄する。刊行以来好評を博してきた本書に、その後の調査・研究から判明したオウム真理教の実態と日本社会の歪みを「12年後の追記」として加え、さらに充実。
目次
第1章 近代における「宗教」の位置
第2章 ロマン主義―闇に潜む「本当のわたし」
第3章 全体主義―超人とユートピア
第4章 原理主義―終末への恐怖と欲望
第5章 オウム真理教の軌跡
12年後の追記―オウム事件を再考するための三つの視点
著者等紹介
大田俊寛[オオタトシヒロ]
1974年生。専攻は宗教学・思想史。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。現在、埼玉大学非常勤講師。キリスト教を中心とする宗教思想史を研究するほか、オウム真理教問題を含む現代宗教論も手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さえもん
1
宗教が個人の内面に押し込められたのち、この内面にとどまっている限りは絶対的な自由が守られるが、社会的に大きな存在となり国に反発するようになると弾圧される。国が死の問題を取り扱わないから、次から次へと新しい宗教が興ってくる。人間が冷静に宗教と向き合うことができるようにするには、国家全体でシフトチェンジする必要があるのでは、と思う。2024/12/24
マッサン
1
大変面白かった。どんな宗教や考えも、様々な思想が背景にあるブリコラージュなのかもしれない。2024/11/14
ポポポ大王
1
近代以降に産業化、都市化、群衆社会化が進んだ結果、それを構成する各個人は代替可能なものとなり、また「死」もプライベートなこととして社会生活の中で公に語られることは無くなったーなぜオウムが存在し得たのか、この歴史的文脈を踏まえた考察は納得感があった。2024/08/15