教育には何ができないか―教育神話の解体と再生の試み

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  • サイズ B6判/ページ数 267p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784393332214
  • NDC分類 370.4
  • Cコード C0036

出版社内容情報

学級崩壊,少年凶悪化,家庭崩壊と,教育の危機が叫ばれる。だがそれらは真実か。具体的なデータから世間の教育言説の嘘を暴き,学校や家庭に何が可能か問う目から鱗の教育論。

内容説明

世間を跋扈する教育言説や、声高に叫ばれる教育論の嘘、誤解、無意識の前提を鋭く指摘。歴史的事実と資源の有限性の認識から、教育本来の意義と限界を問い、教育を蘇生させようとする意欲的論考。「母性喪失」「青少年犯罪の凶悪化」「学力崩壊」など、巷に横溢する教育言説や教育論を検証。その分析と歴史や環境の視座から、教育の目的と方法を問いなおし、教育にできることとできないこと、すべきこととしてはならないことを区分けして、めざすべき教育の未来像に挑む。

目次

教育の限界
第1部 家庭論(現代の母親はダメになったのか?―歴史からの考察;少子化としつけ ほか)
第2部 学校・教師論(学校の役割のポジティヴな再定義―学力論争をながめて;近代日本と学歴文化 ほか)
第3部 教育の風景(昔の家族と今の家族;子育てにおける失敗不安 ほか)
第4部 教育総論(青少年問題と社会の選択―「教育万能主義」をこえて;「教える‐学ぶ」関係の現在)

著者等紹介

広田照幸[ヒロタテルユキ]
1959年、広島県に生まれる。1988年、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。南山大学助教授などを経て、現在、東京大学大学院教育学研究科助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nobu A

3
「教育不信と教育依存の時代」に続き、広田照幸先生の2冊目の購読本。冒頭から目を見張る。誰も反論出来ない教育の理想。現実的に追い求める過程で構造的把握不足から起こりうる副作用。「教育万能主義」の様々な盲点を幅広い視点から検証し、教育が出来ることと出来ないことの境界線を見極めようとする試みに大きな意義がある。巷に溢れる陳腐な教育論より遥かに示唆に富み、勉強になる。内容が多岐に渡り、複雑なだけに咀嚼には再読の必要性あり。惚れ込んだ。忙しい学期末を乗り切り、来月から始まる夏期休暇は著者の他の本を数冊買い込む予定。2016/06/14

名無しさん

3
半年ぶりに再読。前回読んだときとは違った読後感があって面白かった。今回読んで気になったのは、青少年非行に対するまなざしの変化である。70年代半ばから、非行の原因は親や学校による教育の過程や「心の問題」に求められるようになる。この年代は高度成長が終わり、社会がひとつの方向へ向かう「大きな物語」が欠落し始めた時期に重なる。人々が共有する価値が失われた分、それを学校への期待によって埋め合わせようとする動向が生まれた時期である。筆者のいう「教育万能神話」の誕生には、そういう時代の必然性があったということか。2015/08/01

たろーたん

1
教育を語る時、二つの罠があるように思えた。一つは理想の罠。教育はある程度の「理想の教育」を思い描ければ、現実の教育をいくらでも批判できる。しかし、その理想の教育・もっともらしいべき論が無責任に幅を利かせてしまう。金・人・時間の教育時間上の限界と、一部の生徒にしか効果がないという確率論的限界。ホリエモンやひろゆきがよく「個性を伸ばして自分で食える教育」って言ってるけど、それを達成するのにどれだけの金や人がいるのか。そして、その理想の教育をしてどれだけ「教育のおかげで」成功した人ができるのか。(続)2023/05/17

ごーえんじ

1
積極的な理由で読んだ本ではない。なのであんまり真面目に読んでない。小論集の形式なので、読みやすいのはよい。実証的な研究の紹介もあれば、根拠の薄いエッセイのようなのもある。教育の役割が肥大化したせいで(教育万能主義)、教育が叩かれるっていう主張は説得力があったし、新しいと思う。子供に関するすべてのことが学校と結び付けて語られる風潮には、筆者の言うように問題があるなと思う。教育に関心がある人は読んだら勉強になると思う。2012/05/21

msy3a

1
再読。示唆に富んだ本 自分の立ち位置を確認したいときに再読すべき2012/04/16

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