出版社内容情報
現代思想と仏教唯識の接点を探る意欲作。唯識の言語哲学,認識論,深層心理学などの諸側面は,現代思想の文脈の中でいかなる意味を持つのか。現代的関心に応える力作。
内容説明
ユングが指摘した、個人的無意識のさらに下層にある集合的無意識の世界も、唯識にいう共業(ある人々に共同の業)の考え方あるいは共相種子(共業によって熏習された、共通性を特徴とする種子)の考え方等を援用すれば、共通の理解を持つことも可能であろう。しかも精神分析や深層心理学が、過去の体験からくる心理的抑圧からの解放を目ざすとするなら、それは苦からの解脱を目ざす仏道とほとんど並行するものといってよいであろう。仏教唯識と現代思想の接点を探る意欲作。
目次
序章 ニヒリズムと唯識
第1章 唯識ということ
第2章 言語と存在
第3章 存在の科学
第4章 実存と唯識
第5章 修道の理路
第6章 一真法界の哲学
著者等紹介
竹村牧男[タケムラマキオ]
1948年東京に生まれる。1971年東京大学文学部卒業。現在、筑波大学教授。博士(文学)
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感想・レビュー
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陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
16
今となっては形見となった禅僧からの一冊。ニヒリズムと唯識では、肯定と否定をともに否定する「絶対否定=絶対肯定」の中にこそ中道があると説く。ニヒリズムは有無の分別。空こそニヒリズムを超越を意味すると。ウィトゲンシュタインの肯定的事実、または否定的事実と観念と空。または虚数と実数。二元論では語り得ない。「あなたの人生の物語」の全てを包括し最小値と最大値を知り得ながら言語と統一されない事は、縁起・空において円満に成就した空性・真如と共有するのではないだろうか。言語はそれに対応する実体を有しない。それこそが。2015/03/14
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