目次
はじめに―一番いい時代はいつか
1 私たちはどこから来たのか、私たちは何者か、私たちはどこへ行くのか
2 歴史を造るのは誰か
3 世界史から私たちの歴史ヘ
4 モノの位相
5 イミの位相
6 ヒトの位相
おわりに―史的な思考法マニュアル
著者等紹介
上田信[ウエダマコト]
1957年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科(修士課程)修了後、東京大学東洋文化研究所を経て1989年から立教大学文学部。中国を中心にさまざまなテーマを研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
20
人類は進歩しているという単線的な歴史観は,もはや存立することができないのかもしれません。不確定な明日のために生きるのではなく,平板ではあるが確実な目の前の「いま」を精一杯生きるしかない,そのような感覚が根を下ろしている。学生のアンケートは,こうした時代の感覚を反映している/難しい言い方をすれば,共同体の一体性を確認するために,ヒトは歴史を語ってきたのです。/後半になるにしたがって抽象的に過ぎる感想2018/11/16
さとうしん
17
歴史学を専門に研究する「歴史家」の発想を端的にまとめながら、それに対する違和感も提示し、特に若い読者に「史的な思考法」を提示する。昨今報道などでも問われがちな「fact(事実)」に対して「incident(出来事)」を歴史の構成要素とすることを提案したり、人物研究を忌避する態度を「歴史好きを歴史嫌いにする歴史学」と批判したりと、小冊ながら読みどころとなる論点が多い。2018/09/19
サケ太
12
“歴史”とは何か。人類はどこから始まってどこへ行くのか。歴史家たちによって“造られた”歴史への違和感が提示され、それに対する作者なりの回答が示される。世界史における歴史学の考え方の変遷。モノ、ヒト、イミの考え方。史的な思考法。より良い一歩を踏み出すための考え方は興味深い。『歴史家が究極原因だとした事柄だけを取り上げて,それ以外の出来事は役に立たないからといって切り捨ててしまうと,歴史学は貧困になってしまうのではないでしょうか。歴史とは本来,もっと豊かなものであるべきだと思います。』2018/10/26
ヨシオ・ペンギン
1
言語論的転回から歴史家がどのように歴史を研究しているのか、メタヒストリー的ではない研究のあり方が紹介されていると感じた。しかし、これが、一般の人に役立つか、この本のねらいが達成される方法論なのか、おもしろいけれど疑問も残る。2019/10/31
たね
0
論点は明確なのに結論が判然としない印象を受けた。文献読解手順(名称に着目→同じ人格に付与された名称を網羅→同姓同名の別人格を排除→同一人格に付された名称は、どのような他者に対する標識であるか分析→他者との関係の分析から人格を再構成)は勉強になった。歴史に確実な正解はなく、色んな角度から見ていくのが大事なのかな、と読んでいて思った。2021/05/04