内容説明
ゆったりとくゆらす葉巻、人差し指と中指とでつくるVサイン―それらは暴虐なファシズムの侵略とたたかうイギリス人にとって、いや、世界中の人々にとって、輝かしい抵抗のシンボルであった。しかし、第二次世界大戦が起こらなかったならば、かれウィンストン・チャーチルの名はイギリス史の片隅にとどまったかもしれない。まさしく「時が人を得、人が時を得た」というべきであろう。本書は、この大戦を中心として、二〇世紀最大の「個性」の一つを興味深く伝えようと試みたものである。
目次
1 政治家としての哀歓(人生の門出;一つの大戦の試練;一九二〇年代 ほか)
2 ヒトラーとの対決(「事実は夢よりもまさっている」;ブリテンの戦い;ヘス事件という奇妙なドラマ ほか)
3 ある時代の終わり(国民の審判のもとで;冷戦から平和共存へ;死に至るまで)
著者等紹介
山上正太郎[ヤマノウエショウタロウ]
1919(大正8)年、岡山市に生まれる。東京帝国大学文学部西洋史学科卒。学習院大学助教授を経て、電気通信大学名誉教授。西洋近代・現代史専攻。2010年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
8
2018年刊ながら初出は1980年代の様だ。 チャーチルについては彼の『第二次大戦回顧録(抄)』を読んだのみで、最近知った説についての判断材料となるかどうかと思い読んだ。 「チャーチルはファシズムに傾倒していたために1945年の選挙で敗北した」は、たぶん違う。本書によれば彼は時代遅れの植民地主義と労働党の福祉国家政策への批判を激しく行っており、これが支持を失った原因と見ている。→2024/02/22
ジュンジュン
4
誕生から死までを時系列的に追いかける伝記を読んで感じるのは、この巨人を語るには200pでは足りないという事。現代史を彩る偉人は史料もエピソードも豊富すぎて、どうしても駆け足になって表面をなぞったように感じてしまう。入門書としては最適だが。むしろポイントを選んで掘り下げる評伝風のほうがよりその魅力を引き出せるように思った。2019/11/21