出版社内容情報
大島 利一[オオシマ トシカズ]
著・文・その他
内容説明
司馬遷の生きた西暦前二世紀の後半期は、中国民族の最初の大発展期であった。英邁な専制君主武帝の積極政策の下に、東は朝鮮から西は中央アジアに及ぶ世界帝国が建設された。しかしたび重なる征服戦争は、やがて国家経済を破壊し、民衆の生活を極度に圧迫した。この国家の栄光と民衆の苦難との矛盾は、そのまま『史記』のなかに、その雄大な構成と苛烈なリアリズム精神となって現われている。本書は、司馬遷の生涯と『史記』の精神を描くことによって、歴史とは何か、人はいかに生きるべきかという問題を考えてみようとしたものである。
目次
1 ひとつの青春(龍門の人;勉学時代)
2 天下漫遊(古跡を訪ねて;古代文化の源流;つわものどもが夢のあと)
3 権力の世界(官僚への道;武帝の積極政策;官僚政治;随行と出使)
4 歴史家の誕生(父の遺言;『史記』の執筆;李陵の禍)
5 憤りを発して(中書令となる;漢民族の通史;晩年)
著者等紹介
大島利一[オオシマトシカズ]
1909(明治42)年、茨城県水海道市に生まれる。京都大学卒。文学博士。奈良女子大学名誉教授。中国古代史専攻。2000年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
7
司馬遷の生涯と『史記』の著述を重ね合わせる構成。司馬遷が最初に手を付けたのが、当時の現代史の入り口にあたる秦末の反乱、「陳渉世家」「項羽本紀」「高祖本紀」ではないかとか、著者の想像の部分が面白い。2017/10/19
ジュンジュン
5
宮刑を乗り越えて不朽の歴史書「史記」を書き上げたぐらいしか知らなかった司馬遷。意外と広範に各地を訪れていたり、著者の推測ながら書き始めた順番や、タイトルも「太史公書」と題され、後に「太史公記」とも呼ばれ、略して「史記」となったなど初めて知った。2020/01/31
-
- 和書
- ビスマルク伝 〈第2巻〉