出版社内容情報
渡辺 修[ワタナベ オサム]
著・文・その他
目次
1 生い立ちと生涯(恵まれた環境とドイツ留学;「一八九八年の世代」;政治教育連盟の創設と出版活動;ヨーロッパ知性の導入と政治活動;内戦勃発と亡命生活;晩年の活動)
2 思想の主要テーマ(二〇世紀思想の新しい流れ;木々が森を見せない;相対主義と理性主義への批判;ドン=キホーテとドン=ファン;文明の境界線;スペインについて;エリートと大衆;歴史的パースペクティヴ;政治思想;自由主義と民主主義;国家論とヨーロッパ統合)
著者等紹介
渡辺修[ワタナベオサム]
1927(昭和2)年、東京に生まれる。慶應義塾大学卒。産業経済新聞のロンドン、ボン特派員、外信部長、欧州総局長、フジテレビジョンの報道局長、常務取締役などを歴任。元駒沢女子大学教授。2012年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masabi
14
オルテガの生涯と思想について扱う。『大衆の反逆』で世界的にも有名となるも亡命生活、闘病生活が続く。特質として「生の哲学」、人間的に優れた人物によるエリート民主主義を標榜する。日本では絶対化されがちな民主主義について疑義を唱え、「大衆」の台頭と衆愚政治の危険性を示し、見事に相対化した。現代では衆愚と化しているのは社会上層のエリートかもしれないとする筆者の意見は、エリート層から精神的貴族が減少していて精神的大衆が政治的覇権を握ったと考えるのは悲観的か。2015/09/29
caniTSUYO
4
オルテガの一生と彼の思想とその変遷を二部構成となっているが、我々21世紀を生きている人間からすると彼の『大衆の反逆』で警告していることが現況を予言しているようで一番興味を引いた。 何せオルテガの言う『大衆の反逆』で危惧していたことが、現代アメリカではポピュリズムの台頭によるトランプ大統領生むといいう形で結実してしまった。さらに最悪なのはこれはアメリカだけではなく世界的な限界なのだから。民主主義の限界を学者周りでも言われている昨今、オルテガの著作を読みたいと思えた。 あとトリクルダウンってオルテガ発なのね。2019/01/27
山一工房
0
「以前はたとえ存在していても、人に気づかれず、社会という舞台の背景に潜んでいたのが、今や舞台の前面に出てきてライトを浴び、主要な存在になっている。もはや舞台に主役はいない。いるのはコーラス団だけである。」 「しかし現在の大衆は、自分たちが喫茶店での茶飲み話から得た結論を社会に強制し、それに法的な効力を与える権利があると思っている。われわれの今の時代ほど群衆が直接的に支配権を振るうようになった時代は、歴史上かつてなかったのではないかと思う。」2022/09/21