出版社内容情報
小牧 治[コマキ オサム]
著・文・その他
目次
1 哲学者への歩み
2 社会研究所とともに
3 伝統的理論と批判理論
4 権威主義的人間と権威主義的国家
5 啓蒙の弁証法
6 理性の腐蝕
7 ドイツ帰還
8 管理社会と自由
9 絶対他者へのあこがれ
10 逝去によせて―新聞報道
著者等紹介
小牧治[コマキオサム]
1913(大正2)年京都府に生まれる。東京文理科大学哲学科卒。フランクフルト大学に留学。文学博士。東京教育大学名誉教授。2000年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さえきかずひこ
11
ホルクハイマーの思索は、ショーペンハウアーから始まり、マルクスから強い影響を受け社会の批判的理論を構築したのち、ナチスから逃れたカリフォルニアでアドルノと『啓蒙の弁証法』を著す。彼の哲学は現実世界の否定・批判の哲学だったが、そのバックボーンには完全な正義や永遠を請い願うユダヤ教神学の深い伝統があり、生涯を通して、"最悪の現実"においてより望ましいものを真摯に追い求めたとする。後年「マルクスの上に文化批判としてのニーチェをおき(略)ニーチェを好ましいと考えるようにな」った(P.229)という一文が印象的。2018/06/16
Yuki
1
理性の展開(≒啓蒙)は厳密な根拠を呈示する仮象をもち、社会・イデオロギーの発展に一種の暴力性を伴う支配力を有する。これが理性・啓蒙による「野蛮」出来のアイロニーである。/ホルクハイマーは、批判理論の先に「あこがれ」への投企的在り方を探ったが、「批判」の性質上、実践を欠いた部分に、理性による抵抗の風穴を許していたことは否めない。/現代は戦争とは異なる手段で、科学にも哲学にも拠らない、騙られた理性が蔓延している。個々人も同質化し、空疎な安住に充足している。/一言するなら、この危機感のない綱渡りに救いはない。2022/01/21
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