内容説明
チェスタトンは、その持てる才能と精力のすべてを傾注して、詩人、小説家、探偵小説家、劇作家、文芸批評家、歴史家、キリスト教弁証家、エッセイスト、等々と多彩な役割を果たした文人である。最もよい意味でのジャーナリズムの世界を進んで選んだのは、彼が「論争家であることをどうしてもやめることができなかった」からである。人生を戦場と見た彼はどこででも花開くその豊かな才能と豊穣な想像力をこの論争好みの性癖に重ね合わせることによって、語の本義において「ラディカル」な論陣を張ることになった。これがこの「パラドックスの巨匠」を単なる時局家以上のジャーナリストに仕立て上げていった。本書は、このチェスタトンの絢爛たる作品世界に参入する道を準備するものである。
目次
1 チェスタトンの生涯(家族;学生時代;人生への船出;「GKCとは誰のことか」;ブラウン神父登場 ほか)
2 チェスタトンの作品と思想(『色とりどりの国』;正統と異端―『異端者の群れ』、『正統思想』;永遠へのヴィジョン―『アッシージの聖フランチェスコ』、『聖トマス=アクィナス』、『人間と永遠』;ブラウン神父の叡知―『ブラウン神父探偵物語』;小説のパターン―『ノッティングヒルのナポレオン』、『木曜の男』、『球と十字架』 ほか)
3 チェスタトンの受容