出版社内容情報
2009年度ノーベル文学賞受賞者の処女作、待望の邦訳
1982年発表の処女作。
自らの出身地バナートのドイツ人村の日常(因習や権威主義や暴力)を子供の目で淡々と描き大きな衝撃を与えた作品。そこには、暴力と憎悪が渦巻く大人たちの日常と、その中で当惑し出口を見いだせない子供の姿があった。ミュラーは、抑圧が社会全体に幾層も積み重なる様を、凝縮された短文からなる小編を連ねる手法により鮮烈に描き出し、その不条理を際立たせることに成功したのである。
【著者紹介】
ヘルタ・ミュラー
2009年度ノーベル文学賞受賞。
1953年ルーマニア西部バナート地方でドイツ系家庭に生まれた。父親は第2次大戦中、ナチス武装親衛隊で兵役を務め、母親は1945年にソ連の収容所に連行された。ティミショアラ大学でドイツとルーマニアの文学を学ぶ間、チャウシェスク大統領の独裁に反発し、言論の自由を求める運動に参加。工場の翻訳者となったが、秘密警察への情報提供を拒んで解雇され、失職。こうした体験を作品に投影した。
ルーマニアの小さなドイツ系社会における腐敗や不寛容、抑圧などを題材にした短編集「澱み」を1982年に発表。ルーマニアでは検閲対象となったが、検閲前の版がドイツ語圏で高く評価された。
1984年には作風を危険視した当局がミュラーの国内での出版活動を禁止。このため、1987年に夫と西独へ移住した。その後も「緑の梅の土地」(1994年)などで独裁下の民衆の窮状を描いた作品を発表。ヨーロッパ文学賞など多くの文学賞を受賞した。代表作に「狙われたキツネ」(1992年 邦訳:三修社1997年)、「息のぶらんこ」(2009年 未邦訳)
内容説明
二〇〇九年ノーベル文学賞受賞者ヘルタ・ミュラーの処女作。表題含む十九編の短編集。
著者等紹介
ミュラー,ヘルタ[ミュラー,ヘルタ][M¨uller,Herta]
1953年ルーマニア・ニツキードルフ生まれ。ドイツ系少数民族の出。母語はドイツ語。1987年にドイツに出国、現在はベルリン在住。クライスト賞(1994)、ヴュルト=ヨーロッパ文学賞(2006)など多数の文学賞のほか、2009年にはノーベル文学賞を受賞
山本浩司[ヤマモトヒロシ]
1965年大阪生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。現代ドイツ文学専攻。広島大学総合科学部講師を経て、早稲田大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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