内容説明
真夏のニューヨーク。ウェスト・サイドのアパートで、若く美しいひとり暮らしの女性が一人、また一人と殺されていく。いずれも心臓を一突きされて。被害者は加害者を自室に入れ、もてなした気配がある。暴行、抵抗の形跡なし。現場に残された紙粘土のゴンドラが意味するものは?自信たっぷりの殺人犯の挑戦にふるえあがるニューヨーク市民!『恐怖の誕生パーティ』『コパーヘッド』で人気沸騰、ウィリアム・カッツが放つ最新サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
円盤人
3
『恐怖の誕生パーティ』カッツの一作。若い女性を狙うシリアルキラーと、彼を追う警察の視点が交互するサスペンス。85年の作で残虐度は控えめ、長さも319頁しかない。当時作者が意図していたわけではないと思うが、コンパクトでテンポが良く落ち着いた筆致で印象が良い。これが現代作なら、だらだらと細部に凝って倍の長さになるのではないか。終盤に有能な女警部が登場するが、容姿の詳細などを省いているのが最後に効果をあげる憎い作りになっている。小道具のゴンドラが宙ぶらりんのまま終わるのは残念だが、良質なスリラーであった。満足。2020/01/13