内容説明
ロマ民族はナチス体制下においてユダヤ民族同様に人種差別と殲滅を被った。その差別と迫害は、第二次大戦後も間断なく続行している。本書は30篇のロマ民族の口述伝承を収録し、それぞれに偏見や差別を克服するための「注釈」を付す。
著者等紹介
金子マーティン[カネコマーティン]
1949年、イングランド、ブリストル市生まれ。1956年初来日、1969年ウィーンへ移住、1978年ウィーン大学博士課程修了、1983年オーストリア国籍取得、1978年~1991年ウィーン大学日本研究所助手・講師、1991年~2018年日本女子大学現代社会学科教員。日本女子大学名誉教授、反差別国際運動(The International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism;IMADR)事務局次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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belier
4
オーストリア周辺在住のロマの伝承をドイツ語から重訳し、副題の通りに様々な話を収録した本。童話は西欧由来のものなのか、「王様」が登場したり、ストーリーも似たようなものがある。また偶然かどうか、日本の昔話に似ているのもある。つじつまがあわなかったり、明かな伏線が回収されてないものがあるのは、語りをそのまま伝えているからだろう。馬車が出てくる話などがロマらしいのか?家父長制的な教訓話はたぶんロマ独特の語りだろうが、考え方自体は古い時代の他民族でも変わらないと思う。あと、ロマへの偏見を正す注釈は参考になる。2023/05/20
TTK
0
ロマの童話の多くはそのはじまりとおわりに決まり文句がある。はじめに『なかったから、それはあった』とか『昼は長く、夜は短い』、おわりに『もし死んでいなければ、今も生きつづけています』のような。 p.2472023/04/15