出版社内容情報
これは歳月が流れ、生存されている旧日本軍慰安婦の被害者が、ただひとりになったある日からはじまる物語です。私が書きたかったのは、加害者か被害者か、男性か女性かを抜きにしてひとりの人間が引き受けねばならなかった苦痛についてです。
そして、その苦痛を崇高で美しい徳に昇華させた魂についてです。
日本の読者の方々が、私の小説を読んで多くの点に共感されることを願っています。
(著者から日本語版読者へ)
キム スム[キム スム]
著・文・その他
岡裕美[オカ ヒロミ]
翻訳
内容説明
これは歳月が流れ、生存されている日本軍慰安婦の被害者が、ただひとりになったある日からはじまる物語です(著者キム・スム)。
著者等紹介
キムスム[キムスム]
1974年、韓国・蔚山生まれ。97年に「大田日報」の新春文芸(文学新人賞)、98年に「文学トンネ新人賞」を受賞し文壇デビューした。2013年に「現代文学賞」「大山文学賞」、15年には韓国で最も権威ある文学賞「李箱文学賞」を受賞した
岡裕美[オカヒロミ]
同志社大学文学部、延世大学校国語国文学科修士課程卒業。2012年、キム・スム「誰も戻って来ない夜」で第11回韓国文学翻訳新人賞を受賞。広告代理店勤務を経て、現在翻訳者として活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のりまき
16
従軍慰安婦について書かれている。このことからかなりの覚悟を持って読んだのに、想像を超えて酷かった。何より必死に故郷に帰って来たのに、母国でさえ、無理やり連れて行かれた少女たちについて心ないことを言う。たくさんの証言を元に書かれているこの小説は20万人という数字に隠れてしまった少女たち一人一人の苦しみを描き出す。謝罪でも賠償金でも癒すことはできない。2022/09/23
yuki
9
人間の存在の恐ろしさに震えました。こんなにも人は残酷になる…。読みながら怖かったです。しかし、一方で人の強さも知りました。従軍慰安婦問題についてわたしの知識のなんと浅はかなものかも思い知りました。わたしたちは彼女たちのことを忘れてはいけない。巻末の詳細な引用された証言リストにも圧倒されます。2020/05/02
みさと
3
この小説は、韓国政府に登録された公式の慰安婦被害者がたったひとりになった近い将来のある日から始まる。それをテレビで知った彼女は、ぼそり、呟いた。「ここにもうひとり、生き残っている…」と。これは、自身が慰安婦であったことを明かさずに生きてきた彼女の物語。年老いて一人暮らし、何かをするたびに過去のフラッシュバックが襲ってくる。13歳で突然拉致され満州へと連れ去られた彼女の体験はすべて、現実の被害者たちの証言から取られている。ひたすら隠れて生きてきた彼女は、最後の生存者に会うために世界の外に出ることを決心する。2020/06/11
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