内容説明
カブトムシは、だれもが知っている大人気の昆虫・甲虫だ。すがたも良いし、大きいし、強そうだ。でも、それだけじゃない。カブトムシを幼虫の時代から飼育・観察していると、いろんな不思議に気がつく。本書は、そんなカブトムシの謎を解き明かそうと、様々な調査・研究をしている若き研究者の記録である。
目次
第1章 カブトムシとの出会い(カブトムシの記憶;進化生態学との出会い ほか)
第2章 集まる幼虫たち(幼虫の集中分布;幼虫は互いに引き寄せあう? ほか)
第3章 土の中のコミュニケーション(隣り合う蛹室;幼虫はいっせいに蛹になる ほか)
第4章 カブトムシを食べたのは誰?(残骸のなぞ;捕食者を撮影する ほか)
第5章 体の大きさのばらつきを説明する(体の大きさのばらつきはどのようにして生じるか;南西諸島のカブトムシのなぞ)
著者等紹介
小島渉[コジマワタル]
1985年生まれ。2013年に東京大学大学院農学生命科学研究科で博士(農学)を取得。その後、日本学術振興会特別研究員を経て、現在、日本学術振興会海外特別研究員。カブトムシの行動や生態に関する研究を、2009年から現在まで行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
16
自然下だと幼虫もサナギも集まって過ごすカブトムシ。けれども集まっても餌は不足するし、ストレスもあって、むしろ成長は悪くなるらしい。二酸化炭素に反応して集まることは分かったけれど、それは腐葉土の出す二酸化炭素なのか、同じ幼虫が出すものなのかは分からないということらしい。カブトムシの主な捕食者がタヌキとカラスだったことに驚いた。まあ、タンパク質豊富だもんなあ。角で目立つせいか、被害者は7割がオスらしい。どの実験も観察も面白かったけれど、まだ結論は出てないものが多いようなので、続きが楽しみです。2017/04/19
小木ハム
12
カブトムシの生態がよくわかる本。朽木の下などで幼虫が分散せず集合して見つかるのは、二酸化炭素に反応しているから。実は腐葉土は呼吸をしていて(何億という微生物が二酸化炭素を排出)これを餌にする幼虫が感知してのそのそ近寄ってくるのだ。天敵はいないイメージだったけど、幼虫の捕食者にはモグラが、成虫の捕食者にはカラスとタヌキがいる。体が大きく強いカブトムシほど樹液を占領できるが、その分捕食者には狙われやすくなる様だ。割と驚いたのが、樹液を啜りに来る昆虫にGがいること。こいつら何処にでも出没するなあ。2019/05/26
凸凹パレード
6
うちの幼虫から鳴き声が!あまりに大きな音でビックリ!まもなくお出になります。日々観察。2018/05/08
はる
1
絵本より発行が古いので、絵本のほうが研究が進んでいる。カラスとタヌキが捕食者なんですね。2023/07/31
マリン
1
生き物好きな研究者にとっては実験したりデータとったり大変だろうけど楽しいんだろうなあ。苦痛でしかなかった大学院生活を思い出した。応援してますよー!2018/08/31