内容説明
コソボからドイツに亡命してきたロマ人の両親のもと、ドイツで生まれ育ったラミッツは、サッカーやテレビゲームが好きな、ごくふつうの少年だった。そんなある日、移民局から届いた一通の手紙。それは、一家のドイツの永住許可申請を却下する通知だった。難民、強制送還、民族紛争、拉致、亡命、いわれのない差別、つぎつぎと襲いかかる過酷な運命…こうした現実が実際にあるということを、ロマの難民少年がみずから語った、実話にもとづく物語。
著者等紹介
ルンドグレーン,グニッラ[ルンドグレーン,グニッラ] [Lundgren,Gunilla]
1942年、スウェーデンに生まれる。教師として働くかたわら、ロマ人の生徒たちをモデルにした物語を書き、作家としてデビュー。以来、主に移民や少数民族の人びとを取材した作品を多数発表している。その功績により、数々の賞を受賞
きただいえりこ[キタダイエリコ]
1984年、埼玉県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。スウェーデンに留学し、児童文学を学ぶ。現在はスウェーデン児童文学の翻訳と紹介にたずさわる。よみうりカルチャー荻窪スウェーデン語講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
83
政治を支配するセルビア人と経済を支配するアルバニア人、そして貧しいロマ人が住むコソボ。そこに民族抗争が勃発する。1990年代から2000年代初めにあったコソボ紛争である。コソボのジランからセルビアのベオグラード、トルコのイスタンブールを経てドイツへと難民となって逃れるロマの一家。いったんはドイツに渡ったものの、残留許可の更新を拒否され、コソボへ強制送還されてしまう。彼らを待っていたのは、家が破壊され、くずれ落ちた瓦礫やコンクリートの山。すべてを狂わせた戦争は、彼らを再び国外へと向かわせる。→2022/05/27
ぽけっとももんが
7
ロマを初めて知ったのは少女マンガだった。当時はジプシーといっていたけど、歌や踊りを披露しながら旅を続ける人たち、というもの。実際は差別され、迫害される民族であることを知ったのは大人になってから。ロマであるラミッツはドイツで生まれ育ったのに突然両親の故郷であるコソボに強制送還される。戦火のコソボからこっそりスウェーデンに密入国し、ようやくそこに安住の地をみつけるのだけど、なぜそんなことになるのかわからないことばかり。これをとっかかりに、理解を深められたらと思う。2016/08/21
ほしくま
3
実話をもとにした、ロマの少年ラミッツの物語。ドイツで家族そろって平穏に暮らしていたのに、ロマというだけで苦境に立たされるラミッツ一家。ロマについてあまり知らなかったので、少しでも知るきっかけになりました。ラミッツたちを陥れようとする相手について、あとがきで語られていて、なんとも言えない気持ち…。2016/06/26
GO-FEET
1
★★★☆2016/03/31
waraby
0
スウェーデンの作家。さ・え・ら書房。コソボ紛争 ドイツ コソボ スウェーデン2016/09/23