内容説明
あらゆる人びとは、デザインの能力によって今を生きている。これまで造形・美術の世界に閉じこめられていた「デザイン」は、今日情報化時代を考え、解読するためのキーワードとなった。新しい時代の価値構造の特徴は、物的価値中心指向から、知的価値中心指向への移動である。私はこの本で、〈タンジブル―インタンジブル〉という軸を想定し、時代の変容を読みとろうと試みた。この本は、グランド・デザイン構築の推進や、デザインの国際戦略活動で知られる著者が、次代を〈インタジブル・イラ(触知不能なものに価値の重心が移る時代)〉と特徴づけ検証した、俊鋭の野心作である。
目次
1 〈インタンジブル化〉する時代(時代は〈インタンジブル化〉傾向を強めている;身近で起こる〈インタンジブル化〉の徴候;情報化時代のキーコンセプト〈タンジブル―インタンジブル〉)
2 新しい時代の〈デザイン〉構造(現代社会とデザイン現象;図の研究と〈タンジブル―インタンジブル〉;デザインの意味;デザインの現在;新しい時代のデザイン教育)
3 デザイン・オリエンテッド社会へ(英国政府のデザイン振興策とデザイン・ブーム;デザイン・エコノミクスへの課題;デザイン・ロジスティクス;地方とデザイン―活性化の意味;デザイン・オリエンテッド社会と新しい価値創造)