内容説明
この本は、多民族と列強の相剋のなかで、国家のアイデンティティを求めて生きた南洋華人の物語である。中国大陸をあとにして東南アジアに移住した「華僑」たちは、「南洋華人」として、いかに生きたか。リークアンユー首相とともにシンガポールの建国と発展に献身した現駐日大使が、南洋華人の運命をつづったユニークなオデッセイ。
目次
1 南洋生まれの中国人(億万長者と軍閥;偉大な母と兄弟たち;鐘霊中学の抗日騒動;日本の占領と戦争裁判)
2 マレーと中国の間で(新聞記者になって;マラヤ共産党の盛衰;マラヤ民主同盟の成立)
3 揺れる東南アジアの渦中で(ロンドンに留学;マリア・ヘルトフ事件;バンドン会議を取材;ムルデカ会談の成果;政治に揺れる新聞)
4 シンガポール建国の闘い(ジャーナリズムから政界へ;人民行動党の党内闘争;国家を求めて)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
1
執筆当時(80年代後半)、駐日シンガポール大使だった著者(ジャーナリスト出身)が自叙伝とシンガポール建国史を重ね合わせている本。戦前、シンガポールも含まれた英領マラヤでは、政治意識が高く、経済力と組織を持つがマラヤよりも中国との連帯を重視する華人と、人口多数派だが政治意識が低く、経済力も組織力も低いマライ人という社会構造があり、これが回り回ってシンガポールがマレーシアから分裂する遠因にもなった。著者も戦中は共産党の指導する抗日運動に参加し、戦後はジャーナリストとして、マライ独立を間近で見つめていた。2024/02/24
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