内容説明
壮大な自然に親しむ登山やキャンプがブームになって久しい。一方で、山への畏れが忘れられていないだろうか?山には平地では遭遇しえない危険が潜んでいる。クマに襲われたり、落雷が直撃したり、救助に来たヘリが目の前で墜落したり、他人の巻き添えで山頂付近から滑落したりと、ベテランですら生死の境目に立たされるのだ。そんな時、どうすれば生きて帰れるのか?遭難取材を長年続ける著者が貴重な証言からその術を解説。数多の恐怖が待ち受けるのに「それでも登る」と皆が言う、山の魅力がわかる一冊。
目次
1 自然が怖い(槍ヶ岳落雷事故;小梨平キャンプ場クマ人身被害 ほか)
2 無知が怖い(厳冬の富士山にて遭難者救助)
3 救助までが怖い(滝川本流四重遭難事故;刈田岳井戸沢スキー遭難 ほか)
4 人間が怖い(西穂独標滑落事故;雷鳥沢キャンプ場盗難事件 ほか)
著者等紹介
羽根田治[ハネダオサム]
1961年、埼玉県生まれ。フリーライター、長野県山岳遭難防止アドバイザー、日本山岳会会員。山岳遭難や登山技術にまつわる取材を重ね、その成果を雑誌「山と溪谷」「岳人」や書籍で発表する一方、沖縄、自然、人物をテーマに執筆活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
203
山はどう恐ろしいのか。登山を否定するわけではなく、より安全に楽しむための本書である。明らかな装備不足の無謀さ、万全の体制でも巻き込まれる事故。滑落や突然の悪天候だけではなく、熊やスズメバチの襲来も危険である。問題が起こったときの対処がいかに大事かを知る。安全な状況で登山を楽しんでいたとしても、身体には想像以上の負担がかかる。生活習慣病も危険因子になる。不安のある者は無理をしないことが懸命だ。山に登ろうとする者が山の危険に無知であることは、いわば死を背負っているようなものという。しかし、山は人を惹きつける。2023/12/22
breguet4194q
130
著者は「この本を読んで山は怖いから行かない方がいいと思われると心外だ」と書いてあるが、それはムリ。興味がない(又はちょっとだけ興味がある)方なら、恐らく山には近寄らない方が得策と思うだろう。山好きにはあるあるの話でも、一般人にはその危険が認知できない程の無自覚さが恐ろしいと思います。基本的に専門用語は極力避け、丁寧に書かれていますが、巻末に登山用語集が付いているので、入門レベルの人でも助かると思います。2023/10/04
kinkin
95
山岳遭難の恐ろしさを事例をもとに書かれている。毎週のようにどこかの山で遭難事故が起きている。北アルプス、水面アルプス他。今はSNSの時代だから登頂の様子も配信できることがある。私は高いところは全くだめだ。会社の非常用螺旋階段が怖かった。怖いと言いながら人様の山岳遭難のことを読んで無茶だ無謀だというのもどうかと思うが・・・・ ♪山男にゃ惚れるなよ、風に吹かれりゃよ、若後家さんだよ たしかそんな歌があったっけ。2023/10/27
読特
71
「雷に打たれる」「ハチに刺される」「熊に襲われる」「テントが盗まれる」「人に衝突される」「助けざるを得ない人が現れる」…油断した隙に危機が訪れる。山には無数のリスクがある。だからこそ山は人を魅了する。太古の昔、人が暮らす場所には何も守るものがなかった。自分と自然の間には何もない。そんな環境でも生きていけるのか。確かめたいという本能。危険を回避する能力を鍛えたい。…いつかは山へ、と思いながら何年経っただろうか。登山するのはいつの日か。整備された公園を散歩しながら、せめて、頭の中でシミュレートしてみる。2022/10/16
goro@the_booby
69
明日は我が身。羽田さんの本は何冊か読んでますがこれはその中でもとても誰にでも起こる事例を並べて手に取りやすい本です。クマもハチも怖いが、雷が一番怖いな。行程は刻んで午後は早めに切り上げて行かないとね。休みが思うように取れないと無理して行っちゃう事多くなるからねぇ。しかし今夏は1週間休みを取って縦走する予定。最後の「人が怖い」窃盗事件は靴を取られた人の話とか聞いてるから小屋泊りも油断ならんわぁ~。おすすめの一冊です。2023/04/27