内容説明
1946(昭和21)年、毎日新聞が「日本国憲法草案」をスクープした瞬間、日本の憲法と皇室典範の受難は始まる。情報漏洩元は東大憲法学の権威・宮沢俊義(彼の弟が毎日の記者)。この一件がGHQを刺激し硬化させ「マッカーサー憲法」作成の契機となる。天皇条項には当初、天皇の身分の保障すらなかった。憲法の次は皇室典範だった。自らの公職追放を逃れるためGHQの意向に添わんとする宮沢と、天皇と皇室を守るため立ち上がる宮内省参事官・高尾亮一の壮絶な闘い。誰も書き得なかった皇室典範成立秘史、スクープ記録!
目次
第1部 わずか二日間で書かれた天皇条項(毎日にスクープされた憲法草案宮沢案が発火源;憲法の虜になったサイラス・ピーク;宿泊先の食堂で夕食をとっていると ほか)
第2部 天皇条項担当大臣、現場から退室(松本委員会の甲案と乙案;スクープ報道で漏れる;松本草案を知っていたマッカーサー ほか)
第3部 一参事官の双肩に懸かった皇室典範(手渡された真相はこうだ;周章狼狼教授、天皇退位論者に接触;“有名無実の憲法研究委員会”設置 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつのすけ
42
憲法学者の宮沢俊義、最高裁長官を歴任した横田喜三郎、彼らは、自分の地位を守るためだけに、信念を曲げ、外国に従順に従うといった行動をとった 最低な人達だったんだな。一方、宮内省の官僚「高尾亮一氏」、日本の伝統、日本のあり方を守った。素晴らしい官僚がいたことを初めて知った。現代においても、私利私欲に走るのではなく、国家のことを考える官僚が増えれば、我が国も輝きを取り戻せるのではないかと感じた一冊であった。2020/07/12
H
2
保身のための見事な変節で祖国と天皇陛下を売った宮沢俊義から何とか皇室典範を守ったと言えるが、やはり未だに憲法を破棄出来ていないとは思わなかっただろうなあ。2019/09/13
nobuharuobinata
0
前半は日本国憲法の天皇条項のこと、後半はそれを受けた皇室典範のこと。宮沢先生を保身者(戦犯回避)と描くところが本書のハイライトか。2024/11/24