内容説明
火災保険や盗難保険に入っていれば、事故の際、保険金は当然出ると思われている。しかし、現実には家が全焼しても、高級品が盗まれても、保険金は出ない。それは、保険金の支出が損害保険会社にとって「損失」でしかないからだ。あの手この手で支払いを渋り、救済されるはずの被害者を苦しめる損保。彼らの狡猾な手口を暴き、どうすれば保険金を正当に引き出せるか、実際の裁判をもとに徹底的に解説する。
目次
第1章 失火を放火とされる火災事故(石油ファンヒーターから出火;額や足裏に火傷を負い、救急車で搬送;現金も預金通帳もみんな焼けた ほか)
第2章 台風被害を地震災害にすりかえる風災事故(台風で、別荘の門と納屋が倒壊;保険代理店は、契約前に対象物件が建っていたことを確認済;お前たちは、結託して保険金詐欺を企んだ ほか)
第3章 監視カメラの映像が残っていても払わない盗難事故(商品の盗難;車の盗難)
著者等紹介
加茂隆康[カモタカヤス]
1949年生まれ。中央大学法学部卒。弁護士、作家。東京・汐留で加茂隆康法律事務所を経営。保険事故、交通事故の被害者救済に特化し、保険金請求訴訟を主に扱う。テレビの報道・情報番組にたびたび出演、新聞でのコメントも多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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きゅうり
7
演出が過剰な気もするけど読みやすくてよかった。でも実際はどろどろした争いが3年、4年。資金、体力、気力がなければ難しい。一応損保会社の名前は伏せてあるが新聞の引用にデカデカと社名が出てます(笑) 比較的少額なら支払われるとのことだが、本当に助けが必要なときに保険が降りなきゃ意味がない。2020/10/07
ココアにんにく
5
少額なら比較的すんなり払うが高額請求になるとたちどころに不払いを決め込む。本書の事例のようなケースは初めて知った。証拠で争う場面は池井戸潤『空飛ぶタイヤ』を読んでるみたい。保険会社もモラルリスクがあるので逆の立場のものも読みたい。2018年の関空が水没した台風21号を思い出した。損保会社が史上最大の1兆円越えの保険料を支払ったのに経営難にならないのが前から不思議だった。2020/12/25
Akio Kudo
3
★★★★★ 自動車保険だけではなく、盗難保険、火災保険にしてもここまで損保は悪辣なのかと呆れる2021/12/04
うたまる
2
「はじめから出ないような保険なら、保険料詐欺も同然じゃないですか」「おっしゃる通りです。だから高層ビルが建つんです」……保険金請求訴訟を専門とする弁護士のハウツー本。悪徳保険会社との裁判事例3件で構成されており、いずれも荒唐無稽な主張をぶった切る勧善懲悪劇が心地よい。共済は利幅を抑えているから、ネットは事務経費が節約できるから、外資は最先端のノウハウを持っているから、大手はマスメリットが活かせるから…、だから保険料が安いなんてのは全部ウソ。要は払うべき保険金を払わないから保険料を安くできるというカラクリ。2022/01/01
asobi
2
この問題は、営業成績を上げたいという社員と企業を得意先にしてる弁護士という構図からありがちと思われる。弁護士は正義の味方でもなんでもないので、客に頼まれればなんでもやる。大会社がバックならなおさら。常識や経験のない弁護士に無理をさせることが損になると会社も思って欲しい。でも被害者が気軽に裁判に訴えられる土壌が日本にないので、現実は厳しい。2019/03/10
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