幻冬舎新書<br> マンガの論点―21世紀日本の深層を読む

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幻冬舎新書
マンガの論点―21世紀日本の深層を読む

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  • サイズ 新書判/ページ数 774p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784344983809
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0295

内容説明

10年前すでに戦争とテロと格差社会を描いていたマンガは、つねに世相の3歩先を映し出す予言の書である。そしてその後、何を予言し的中させてきたか。マンガを論じるとは、まさにこれを読み解くことでもある。『デスノート』『ソラニン』『すーちゃん』『へうげもの』『闇金ウシジマくん』『20世紀少年』『この世界の片隅に』『JIN―仁―』『PLUTO』『鋼の錬金術師』他からフランスのマンガBDまで、この10年間の数百冊を取り上げ、読み方のヒントを明示し、現代日本の無意識をあぶりだす。

目次

1 「俺はまだ本気出してないだけ」だった第一次安倍政権の頃
2 70年代とテロと戦争に早くもマンガは憧れ始めていた
3 多かれ少なかれ国家は北朝鮮的にならざるを得ないのかもしれない
4 世界の終わりになっても「金、金」言いすぎる罪と罰
5 マンガの神は、テクニックではなくソウルでマンガを描く?
6 震災の年、ゾンビに癒されて
7 フラット化された世界に残されたのは友情とグルメ
8 底なしの闇から見上げるは美しき夜の空襲と紺碧の空の白い雲
9 ゴジラの中にいるのは、どこの何の神か?

著者等紹介

中条省平[チュウジョウショウヘイ]
1954年、神奈川県生まれ。学習院大学フランス語圏文化学科教授。パリ大学文学博士。84~88年、フランス政府給費留学生としてパリに滞在。88年、東京大学大学院博士課程単位取得修了。2003~07年、朝日新聞書評委員、09年より手塚治虫文化賞選考委員を務める。近著に『中条省平の「決定版!フランス映画200選」』(清流出版)、『「パパの品格」なんていらないのだ!』(講談社)、『浅草映画研究会』(廣済堂出版、共著)、『花のノートルダム』(光文社古典新訳文庫、訳書)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コットン

66
大御所・中堅・売り出し中の漫画家についての774ページの中身が濃いマンガの評論。バンド・デシネというフランスのコミックやアメコミに詳しい小野耕世の『世界コミックスの想像力』の紹介が面白い。筆者のオノ・ナツメへの期待度は「「リストランテ」シリーズの「老眼鏡萌え」に満足せず、『not simple』の先鋭的な冒険精神を維持してさらに化けてほしい。」に集約されている!色々読みたいものが増えた(-.-)2016/04/13

ハイランド

64
新書にしてこの厚さ「京極夏彦かよっ」と心で叫びながらも読んだ本は、文芸評論家である著書のマンガ評論集。殆どが読み捨てられる運命にあるマンガの中で、優れた創作・芸術として論じる価値のある作品を紹介する。紹介された本の7割ほどには目を通しているマンガ読みだが、バンド・デシネについては全くの無知であることを思い知る。地方にいると殆ど目にしないからね。それにしても某「マンガの神様」が戦後のマンガの隆盛を作り上げたのは事実だが、彼がいなければ日本のマンガはもっと早くに豊饒で多様な世界を獲得できていたのかもしれない。2016/06/05

smatsu

7
かつて末次由紀は作品でスラムダンクなどから絵をトレースしていたことがわかってスキャンダルとなり、連載はすべて打ち切り、出版されていた単行本もことごとく絶版・回収となった。一度は漫画家生命を絶たれたがその後復活。今でも検証サイトは見られるので彼女はこの十字架を一生背負っていくことになる。『ちはやふる』が2009年マンガ大賞を受賞した際は授賞式を欠席、代理人を通じてその理由を伝える。「自分はまだこういう場に出ていけるような人間ではない。一生懸命マンガを描いていくことでしか恩返しはできない」と。2021/12/18

smatsu

6
774ページもあるガチの漫画評論でさすがに疲れましたが、これだけ本気で書かれると読む方としてもいい加減に読めないので最後までしっかり読みました。自分も(一般の読者にしては)漫画読んでる方だと思うけど好きで読み散らしているだけなので全く気づいてなかった作品も結構あり。海外のグラフィックノベル作品を拾ってくれているのは良いです。『闇の国々』とか読みたい。評論としても最後の方のゴジラが象徴しているのは戦死者の亡霊だという川本三郎の説の紹介など唸らされる。確かに国会議事堂は壊しても皇居には行かないものなぁ2021/10/17

HK

6
月刊誌に9年にわたって連載されたマンガ時評をまとめた一冊で、量・質ともに圧倒的な傑作。失礼ながら、まさかこんなすごいマンガ評論が幻冬舎新書として出版されていたとは驚きを隠せない。前作「マンガの教養」は、同連載の一部であった一冊のマンガを短評する部分に加筆修正を行って出版したものとの説明があり、いわば本書が時評の「本編」と言えるものである。絵画、映画、文学と多彩なリファレンスを行いながら、マンガという表現の歴史性を強く意識して作品の魅力を伝える文章は絶品。マンガ好き必読。2015/07/18

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