内容説明
古代「征夷大将軍」は、朝廷が蝦夷を征伐するために派遣した軍勢の総司令官でしかなかった。しかし一一九二年、源頼朝は、武家政権樹立のために、「天皇の代理人」の権限を持つこの官職を、二五〇年ぶりに復活させる。以来、その本質は「皇帝」とほぼ同義となった。その後も足利氏、徳川氏とその血筋を変えながら、約七〇〇年間、征夷大将軍は日本の支配者であり続けた。優れた統治システムを生み出した名君から、くじ引きで選ばれた暗愚将軍まで、歴代四八名を全網羅し、強権と傀儡が交差する日本の中近世史をひもとく、画期的な書。
目次
第1章 古代の将軍たち
第2章 源家将軍―鎌倉時代1
第3章 摂家将軍・親王将軍―鎌倉時代2
第4章 後醍醐天皇の皇子たち―建武の新政・南北朝時代
第5章 足利将軍―室町時代
第6章 徳川将軍―江戸時代
著者等紹介
榎本秋[エノモトアキ]
東京都生まれ。WEBプランニング、ゲーム企画、書店員を経て、現在は著述業。日本史・中国史のほかライトノベルについても造詣が深い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Emperor
35
やっぱりダントツで足利義満。あなたの好きな征夷大将軍は?笑2019/04/21
mazda
22
初代征夷大将軍は坂上田村麻呂だと習ったはずだったのですが、大伴弟麻呂が初代だったんですね…。知りませんでした。源頼朝は征夷大将軍になる随分前に政治体制を築いていたようで、最近では1192年ではなく1185年が幕府樹立の年とされるようです。奥が深いですね。2018/09/20
警蓮社峻譽身阿
9
歴代48人の征夷大将軍のそれぞれに歴史的見解・事件などを解説。将軍自体はメジャーなテーマやけど、特に鎌倉~室町、江戸中期の将軍って知りたくても機会がないくらいマイナーやから非常に興味深く読めた。著者が学者じゃなくてゲームクリエイター上がりのコラムニストっていうのも斬新。2018/04/17
かずい
8
征夷大将軍とは本来日本の先住民である蝦夷を討伐するための天皇から頂く役職であったものが、幕府の長としての権威へと変わっていく様を著している。その中でも鎌倉、室町、江戸時代の各将軍の生涯の下りはよくまとまっており、日本史のまとめには最適であった。2019/09/12
takuchan
7
古代の征夷大将軍の役目は「蝦夷を倒すこと」であった。/ 面白い!!歴史を征夷大将軍の視点から見てみるという試み。四十八人を総覧で上手く纏めているのではないだろうか。大友弟麻呂・坂上田村麻呂・文室綿麻呂の3人で本来の役目を終えていたというのが面白い。その後「武士の頂点であり幕府の長」に変わっていくのか。室町時代の義政以降は本当に影が薄いなぁ。2015/03/16