内容説明
科学―誰もが知る言葉だが、それが何かを明確に答えられる人は少ない。しばしば「自然の猛威の前で人間は無力だ」という。これは油断への訓誡としては正しい。しかし自然の猛威から生命を守ることは可能だし、それができるのは科学や技術しかない。また「発展しすぎた科学が環境を破壊し、人間は真の幸せを見失った」ともいう。だが環境破壊の原因は科学でなく経済である。俗説や占い、オカルトなど非科学が横行し、理数離れが進む中、もはや科学は好き嫌いでは語れない。個人レベルの「身を守る力」としての科学的な知識や考え方と何か―。
目次
第1章 何故、科学から逃げようとするのか(いつから避けるようになったのか;向いていないと思い込む ほか)
第2章 科学的というのはどういう方法か(科学と非科学;非科学的な習慣 ほか)
第3章 科学的であるにはどうすれば良いのか(「割り切り」という単純化;科学は常に安全を求める ほか)
第4章 科学とともにあるという認識の大切さ(ごく普通に接すれば良い;数字にもう少し目を留めてみよう ほか)
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年、愛知県生まれ。小説家、工学博士。国立N大学工学部建築学科で研究をする傍ら96年に『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞し、作家デビュー。以後、次々と作品を発表し、人気作家として不動の地位を築く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
175
長い歴史の中で失敗から学び、ようやくやり方が生まれた。その方法が科学である。人間の幸せを追求し、自然を愛さなければ、とっくに歴史から消え去っていただろう。科学とは印象や直感をできるだけ排除し、可能な限り客観的に現実を捉えようとするもの。科学は難しい。科学者や技術者の話はどうも敬遠されてしまう。科学はめちゃくちゃ楽しいのだけれど、個人的感情を本書で押し付けるのはよくない、という著者らしさ。理由もなく嫌いになったり、自分の可能性を潰していませんか。あれっ好きかもと感じてもらえれば幸いだと、語りかけてくれます。2021/11/03
KAZOO
147
森さんによる科学概論あるいは科学哲学的な考えをわかりやすく書かれたものです。日常的な出来事を例に挙げられて高校生でも理解できるように非常にわかりやすい本でした。2016/12/10
KAKAPO
57
森博嗣先生の言い回しを借りれば、この本が示しているのは、「データ(情報)」ではなく「メソッド(方法)」である。だから、この本に書かれている内容を憶えるために、書棚の一等地に置き、7回読む必要はない。「メソッド(方法)」を腑に落としたら、後は、実践あるのみである。何か、疑問に思った時、文学的!?に理解しようとするのではなく、データを比較し、科学的に理解しようと努めよう。そうすることで、私のような文科系?も、少しだけ真の理科系!?に近づけるかもしれない。但し、参照するデータがどのように測定されたか確認しよう。2017/04/12
Lee Dragon
51
私は文系理系という分け方はあまり好きではありませんが、自称「文系」で「文系」だから「理系」の事は分かりませんと言っている人にとっては耳に痛い事がたくさん書いてあると思います。ここでいう「理系」とは現象の裏にある原理を理解して、絶対的指標である数字をもとに物事を考えることのできる人をさしています。本書にも書いてありますが、別に科学はこんなにも面白いから勉強しろと押し付けることは他の人にとっては迷惑千万であり、入会を強制する宗教と変わりません。損得の話をすると、科学的に思考ができるという事は得をします。2016/01/15
おつまみ
47
科学は数字が大事。感覚的には判断できず、数字・グラフを使い説明し、再現性のある事象が科学。数学だけではない。2019/08/17