内容説明
ホームズ・パスティーシュの新機軸、その後編。ドイルの同時代人、E・W・ホーナングが生んだ紳士泥棒A・J・ラッフルズとの知恵比べ、地下鉄の工事現場に夜な夜な現れるミイラ男の怪。ホームズがタバコ入れとしている“ペルシャ製スリッパー”の謎が明かされ、あのH・G・ウェルズが登場する。そこはなんと、“宇宙戦争後”の世界なのだ!エリック・ブラウン、リチャード・ディニック、マーク・ライトら、俊英が妄想力と遊び心を詰め込んだ奇想天外な8編。お楽しみあれ。
著者等紹介
マン,ジョージ[マン,ジョージ] [Mann,George]
1978年イギリス・ダーラム州ダーリントン生まれ。雑誌編集者を経て作家活動に入る
尾之上浩司[オノウエコウジ]
怪獣小説翻訳家&評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICK KICHI
67
(表紙: YOUCHAN ) ホームズのパスティーシュ短編集。タイトル通り、火星人にフランケンシュタイン、怪盗、スチームパンク、果ては役立たずのホームズに変わって大活躍のハドソン夫人…。奇想天外なストーリーが次々に…。編者の好みなのか、英国の人気SFドラマ「ドクター・フー」の脚本、小説に関わった作者が数多く見受けられたのは、個人的嗜好にはピッタリ。ホームズの元々ネタを知っているとあぁそこね…と、ニンマリしながら読めるし、知らなくてもシチュエーションで充分楽しめると思います。2019/12/31
sin
66
前巻の収録作に編者のセンスを云々したものの、この巻には矛盾を感じた。魔女やフランケンシュタインの怪物はまだしも火星人の登場は世界観が違いすぎて馴染まないようだ。ましてやこのブラウンのホームズの偏見にみちて独善的、そのうえ安易な解決法には嫌悪すら感じて、もはやホームズその人を描いたとは思えない。その感想への証左は図らずも次のディニックの作品の結びに「目的は決して手段を正当化しはしない…」と、彼のホームズ自身が諭している。その違和感はライトの作品にも共通して独善的な態度で犯罪者を見過ごす人物像は理解しがたい。2018/12/02
すけきよ
14
【承前】正典は全く未読なので、ホームズらしいとかホームズ度が高いとかはどうでもよく(超問題発言)、むしろホームズから離れてる作品のほうが好きかもw お気に入りは、『失われた第二十一章』『地を這う巨大生物事件』『火星人大使の悲劇』『ハドソン夫人は大忙し』。特に『ハドソン夫人は大忙し』が一番好きかな。こういう感じの実写ドラマみたいなぁ。北原尚彦さんの解説が面白く、「◯◯という記述から、××と△△事件の間の出来事と推測できる」って、シャーロキアンは凄いなぁw2015/11/27
nuit@積読消化中
11
下巻読了。上巻に比べいっきに「怪人たち」と呼べるようなトンデモ系がなくなり、個人的には少しだけガックリかと思いきや、これが中々怪人は出なくても一つ一つが面白いのだ。ドイルの義弟作品の紳士泥棒ラッフルズについては知らなかったので是非読んでみたい。また上下巻共に北原尚彦氏の解説が読書欲をそそるため、それをガイドに未読のドイル作品並びにパスティーシュをポチッとしてしまいました。2015/11/22
鐵太郎
10
第2巻とはいうものの、実際は原本が一冊なのでアンソロジーの後半と言うべきか。とはいえざっと見て、パスティーシュとしての出来はこっちの方が第1巻よりよかったような。「火星人大使」はSFっぽいけどそれなりに面白いかな。ただ一つ引っかかったのは「ハドソン夫人」。当時ありえないガスコンロを使う場面、ワトスンがホームズにコカインとモルヒネのどちらがいいかと問う場面で萎えちゃいましたぜ。2016/01/02