内容説明
大型トラックバス「オアシス号」に乗って、アフリカ大陸を一周する。期間は約10カ月。夜はテントで寝泊まり、食事は焚き火で自炊。著者は55歳で会社を辞め、この冒険ツアーに参加した。摂氏50度の砂漠。“地雷注意”の標識。キリンやゾウまでが食料にされ、動物のいなくなった国立公園。妻7人、兄弟姉妹54人を持つ首長。今なお残る子どもの人身売買。エイズで平均寿命が40歳の国。ジャングルの9割以上が破壊された国。援助金から莫大な額を抜き取る政治家―。それでも庶民は元気でタフだった。アフリカの今を知る、冒険旅行記。
目次
序章 旅の始まり(冒険旅行会社へのアプローチはメールで;集合場所は、イギリス・ガトウィック空港 ほか)
1学期 電気・水道がない?そんなの当たり前(モロッコ;モーリタニア ほか)
2学期 キリン、ゾウ、なんでも全部食べちゃった(ガーナ;ベナン ほか)
3学期 野生の王国と冒険のパラダイス(南アフリカ;ボツワナ ほか)
最終学期 ゴリラが支える国から、摂氏50度の砂漠まで(ケニア;ウガンダ ほか)
付章 オーバーランドで世界を旅する方法(費用について;英語力について ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
301
10か月に及ぶアフリカ一周ツアー。著者はイギリスに拠点を置くツアーバスに参加した。モロッコのシャウエンからアフリカ大陸の西側を南下し、南アフリカからは一転して北上し、エジプトに至るルートだ。ツアーバスの同行者は、主にヨーロッパ各国からの老若男女たち。どうせ旅行するのなら、これくらいハードな旅に出たいものだ。アフリカとはいうものの、当然のことながらサハラ以北から位南、熱帯雨林からサヴァンナのアフリカと実に様々だ。考えることもまた多い。我々にとってアフリカはまだまだ遠い存在であり、永遠に憧憬の地なのである。2016/08/06
やすらぎ
149
アフリカを何も知らないな…と、この本を手に取りました。トラック「オアシス号」に乗って世界中の人たちと10ヶ月かけて一周。筆者の体験記。一緒に旅した気分になります。西アフリカの過酷さ、砂漠の乾き、大自然と動物保護。マサイ族の隔離。写真撮影は危険。争い、貧困。水を運ぶ仕事。アフリカの表裏。良くも悪くもアフリカ。日本にいると冷暖房があり、街灯もある。あらゆる生活が便利すぎて、鈍感な自分がいる。水一滴を大切にする気持ちを忘れている……しかしながら、私はオアシス号に乗れないと思う。お腹を壊しそうだし…肌も弱いし……2020/11/18
kinkin
80
この本でオーバーランドツアーという旅行手段があることを氏lt板。ここでは大型トラックバス「オアシス号」に世界中から来た職業も思想も自由な人たちが乗り込み旅が始まる。途中でツアーをやめることは一切自由。同乗者には規律を保つ最低の決め事がある以外自由だ。アフリカを西海岸から下り南アフリカからエジプトを目指し上がってゆく。多くの国々は貧困や病などの問題で人々は苦しんでいる一方で生きるということには前向きなことを知る。大虐殺のあったルワンダや紛争の続くスーダンの実情も興味深く読むことができた。2017/04/03
けぴ
52
前半はスペインの先っぽジブラルタル(実は英国領)からモロッコに渡り、モーリタニア、マリ、ブルキナファソ、ガーナ、ベナン、ナイジェリア、カメルーン、ガボン、コンゴ、アンゴラ、ナミビア、南アフリカ。後半はボツワナ、ジンバブエ、マラウイ、タンザニア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、エチオピア、スーダン、エジプト。大型トラックを改造したオアシス号によるアフリカ一周ツアーに参加した著書の生き生きとしたルポ。多国籍参加者の旅は英語力を磨くのにも良いとか。300日のツアーが三食付きで67万とは驚き。野生動物が危機的とのこと2022/08/09
ホークス
46
色んな国の老若男女24名で、アフリカを十ヶ月かけて一周する。乗り物はトラックを改造したバス。結構メジャーなツアーらしい。50代の著者は腹が座っていて、生身のアフリカを知るには良い一冊。野生動物、紛争、腐敗、暴力、貧困に晒される。野糞だし冷暖房もない。そのぶん孤児院や村を訪ねるなど独自の体験ができる。肉屋にはラクダの首。スクラップにしか見えないタクシー。野放図な自然破壊。底無しの貧困と奴隷売買。余りに苛酷な女性差別。安い命。個々の乗客により訪ねる国により、価値観は大きく違う。呆然とし、気持ちを新たにした2020/04/05