内容説明
二十一歳の太宰治が心中を試みた時、相手の女・田部あつみは、死の直前で他の男の名前を叫んだ。それに気づいた彼は、二人を固く結んでいた手首の紐を断ち切って、一人生きのこる。太宰治の小説はすべて、女の嘘から始まったのであり、常に生身の女を描いたものだった―。太宰治の作品と人生、そして、そこに介在し小説のモデルにもなった五人の女たちを紹介しながら、男女の機微をも読み解く画期的な一冊。
目次
第1章 最初の「鉄子」田部あつみだけが死んで一人のこされる―『鉄面皮』『虚構の春』『葉』
第2章 作家の理想だった「煙草屋の娘」が他の男に汚された時―『人間失格』『秋風記』
第3章 聖母マリアのような「椿屋のさっちゃん」への深い愛―『ヴィヨンの妻』
第4章 少女スワ、太宰治の中にある性的な黒々としたもの―『魚服記』
第5章 母親、叔母のキヱ、乳母のたけ、初恋の少女に棄てられて―『思い出』『津軽』
第6章 最初の妻、小山初代の裏切りによって世界が崩壊する―『東京八景』『姥捨』
第7章 初代との離別を描いた小説の原稿料で伊達男に変身、石原美知子と見合いへ―『男女同権』『トカトントン』
第8章 妻、この愛しくも厄介なものにどう向かい合えばいいのか?―『散華』『苦悩の年鑑』『パンドラの匣』
第9章 父はどこかで、義のために遊んでいる―『父』『家庭の幸福』『桜桃』
第10章 『斜陽』を書かせた文学上の協力者、太田静子―『斜陽』
第11章 どこにでもいるような可愛らしい「年下の看護婦」山崎富栄と迎えた最期―『人間失格』『如是我聞』『グッド・バイ』
著者等紹介
山川健一[ヤマカワケンイチ]
小説家。1953年生まれ。千葉市出身。77年「鏡の中のガラスの船」で「群像」新人賞優秀作受賞。以後、ロック世代の旗手として次々に作品を刊行し、著書は一〇〇冊を超える。アメーバブックス新社の取締役編集長でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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