内容説明
庶民感覚に欠け平気で嘘をつき議員特権にあぐらをかく政治家が国家の舵を握っている。これはまさに国民の悲劇だ。参議院が否決したにもかかわらず郵政民営化法案は成立した。すでに国会は二院制の原理を否定し死んでいるのだ。こんな政治家のご都合主義を許していいのか―いま参議院の腐敗が、国会の死に体を象徴している。かつて「参議院の天皇」の異名をとった村上正邦、小沢一郎の知恵袋・平野貞夫、元共産党の論客・筆坂秀世が参議院大改革案を緊急提言。
目次
第1章 国会議員は特権階級であってはならない
第2章 タレント議員の府
第3章 参議院をを殺した政治家たち
第4章 参議院改革の歴史
第5章 「村上天皇」体制とその変質
第6章 参議院改革論
第7章 政治改革の本丸は参議院の大改革
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
警蓮社峻譽身阿
13
参議院の存在を否定しもっと合理的な二院制や一院制を提示するのかと思いきや。参議院OB(与野党)が今の参議院の立場や振る舞いはダメだ、昔は俺たちはもっとちゃんとやった、とワイワイ対談する本でした。ただし、現憲法下では参議院の存在意義は示せない、6年の長期任期を背景に衆議院を牽制する権限を集約し、政局とは違うところで国政に携わるべきだ、という意見には賛成したい。小泉政権下の2007年発行。だがしかし、今の参議院の存在感を考えたら、当時と比べて改善どころかどんどん陳腐化している様に感じる。2022/04/14
KJ
6
人を変える為には、まず器を変える。器が変われば、自ずとそこに流れ込む人間の形も器に合わせて変化する。ただ確かに言える事は、器の中にいる人間が器の形を変える事は絶対に出来ない。参議院を政局にしてはならない。参議院は長期的視野に立って、大所高所から日本の在り方を考えるべきだ。確かにそうだろう。単なる衆議院の補完勢力であるなら、文字通り参議院なんかいらない。参議院議員だと一目で分かる位の仕組みと人材が必要だ。「政治改革の本丸は政治家改革」だ。偉そうに国民の改革をする前に、自分の身を正すというのは当たり前の事だ。2013/05/27
白義
6
引退した政治家たちによる政界四方山話。国会議員の無駄遣い、タレント議員への苦言とだいたいわかりやすいお話で、深く突っ込んだ分析はあまりないのであくまで雰囲気やエピソードの面白さが売りか。肝心の参議院改革案はより参議院を良識の府にするため独自性を持たせる案だが、是非はよくわからない。出自のかなり違う三人だがパーソナリティーに共通点が多いのか座談会は終始穏やかに進むので、読みやすい本ではある。読んで損はない部類2012/06/12
Naota_t
5
読み物としては楽しく拝読させてもらいました。まぁ愚痴大会って感じです。 みなさん、本書には書かれていないけれど、「ノブレス・オブリージュの精神」で政治に向き合っているんだなぁ、というのは伝わってきました。 日本の政治っていうのは職業として「仕事」という感覚が大きいのと、既得権益にすごい拘るのがよくないなぁ、と庶民感覚から感じました。 本書あとがきにも書いてありますが、『参議院なんかいらない』というのは誤りで、参議院をもっといい形にしましょうや、という内容です。 2013/05/06
がんぞ
5
占領軍は(華族制度廃止とともに)貴族院を廃止。原案の一院制に対し、解散のない参議院を作る意義は「国民の支持を広く集める有識者を選出する良識の府、再考の機能」の建前。だが現在の基本的に同じ選挙制度はまるで衆院落選者の失業対策。タレント議員も多く質の低下が目立つ。政党化が変な具合に進み法案の拒否権ばかりが強調されるが、たとえば予算案は衆院、決算審議は参議院に任したらどうか?予算つくって効果検証しない企業はないだろ?に激しく同意。どうせ改革が合意出来ないなら来夏の参院選は取りやめにしたら?それで半減できるだろ?2012/10/14