出版社内容情報
医師国家試験に合格した野呂は、金沢のまほろば診療所に戻ってきた。娘の手を借りず一人で人生を全うしたい老母。母の介護と仕事の両立に苦しむ一人息子。妻の認知症を受け入れられない夫。体が不自由な母の世話をする中二女子。……それぞれの家庭の事情に寄り添おうと奮闘する野呂は、実は、ヤングケアラーという辛い過去を封印していた。
内容説明
医師国家試験に合格した野呂は、金沢のまほろば診療所に戻ってきた。娘の手を借りず一人で人生を全うしたい老母。母の介護と仕事の両立に苦しむ一人息子。妻の認知症を受け入れられない夫。体が不自由な母の世話をする中二女子。…それぞれの家庭の事情に寄り添おうと奮闘する野呂は、実は、ヤングケアラーという辛い過去を封印していた。
著者等紹介
南杏子[ミナミキョウコ]
1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入し、医師免許取得。大学病院老年内科を経て、都内の高齢者中心の病院などで勤務する。2016年『サイレント・ブレス』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
布遊
27
まほろば診療所で、訪問診療に携わっている、元ヤングケアラーだった新人Dr.野呂聖二。各章、それぞれ問題を抱える家庭に訪問する。看護師麻世ちゃんとのコンビがほほえましい。祖母を介護していたときのわだかまりも次第に溶けていく。診療所の先輩先生たちも皆温かく、ほのぼのとしたお話。2025/06/04
はなちゃん
6
何冊目かの南さんの作品。今まさに大きな問題になっている介護問題、ヤングケアラーはじめ介護を担っている家族の問題…現場を知る現役医師ならではの視点で描かれている。主人公野呂先生の優しい人物像で癒されるが、問題は深刻なもの。重くなり過ぎずに読みながらも、自分の問題としてもいろいろ考えさせられる。2025/06/09
コアラ太郎
3
これから迎えるであろう、私たち自身の人生についても深く考えさせられる、力強いメッセージを持った作品でした2025/05/12
かいちゅう
3
医療と生活環境、介護する人される人、様々な想いがあり、簡単には割り切れない。いつかどちら側かになったとき、制度も上手く使って楽しく生きられるように少しは勉強しようと思った。2025/05/12
あまいちろう
1
本書を読み終えて、タイトルの通りの深い内容であったとしみじみ思う。医療現場に身を置く作者だからこその思いが伝わってくる。家族の介護している人は目の前の介護に追われ、助けを求めることさえ考えられなくなっている事例に心が痛む。特にヤングケアラーの話は深刻だ。人口減少の日本で若者が自分の進路をじっくり考え、行動できるよう、社会で支える仕組み作りは緊急を要する。自分自身高齢者となり、介護を受ける立場になった時、素直に助けを求めるべきと痛感した。多くの人に読んでもらいたい作品だ。2025/05/24
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