出版社内容情報
花房 観音[ハナブサカンノン]
著・文・その他
内容説明
一九九六年、日本で一番本が売れた年、帝国ホテルで執筆中に山村美紗が亡くなった。二〇〇冊以上の本を出しベストセラー作家と持て囃された“ミステリの女王”。華やかな活躍の陰で「文学賞を獲りたい」という強烈な劣等感を抱いていたこと、公然の秘密と噂された作家との関係や夫の存在など、秘められた謎は多い。文壇のタブーに挑むノンフィクション。
目次
序章
第1章 京都の作家
第2章 出生、結婚
第3章 江戸川乱歩賞
第4章 デビュー、ベストセラー作家へ
第5章 京都組
第6章 戦死、ふたりの男
第7章 京都に女王と呼ばれた作家がいた
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
1971年兵庫県生まれ。京都女子大学中退後、映画会社や旅行会社の勤務を経て2010年「花祀り」で第一回団鬼六賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
117
なかなかの力作。というか、読み手を惹きつける文章と内容である。山村美沙・西村京太郎両氏との関係や山村家の形、その上で当時の出版業界の有り体。また、彩る松本清張氏等。その上で、山村美沙・西村京太郎両氏の略歴的内容がある。想像以上に読書人として惹きつけらる内容であった。僕は京都を背景に背負った壮絶な一代流行作家の世界に浸たり、誘われたのである。加えて、花房氏の出版界のタブーへのチャレンジ、それを発刊した幻冬舎等も凄いと思った。ゴシップやスキャンダル本に陥らず、一つの読み物として読み手の好奇心を掻き立てる。2023/01/29
キムチ
63
筆者、山村氏、西村氏、申し訳なくも1冊すら未読。ペンネームとは言え筆者の名称が気になっていた事もあり頁を。性格的❔恐ろしい程生真面目な文章が続き、山村氏を囲む枠の戯画めく様な葛藤・恍惚の世界が浮かび上がる。人はそれをどう捉えるかあくまでも主観的だろうが。個人的にはほとほと疲弊し切った感あり。ヒロインは美沙氏とはいえ 案外後方 巍氏の全体像すら見えぬオーラの世界が主役なのではとも感じた。娘2人も相当、影響を受けたであろうし。いみじくも掌で踊らされた体の夫と西村氏がそろい踏みで今年死去がラストインパクトだった2023/01/05
りゅう☆
62
人気作家のスキャンダルはタブー。だけど山村美紗のことをどうしても書きたかったという花房さんの渾身の思いが伝わる1冊。実は山村作品は1冊も読んだことがありません。身体が丈夫でないのに書き続け、執筆途中で亡くなるなんて凄まじい人生。そこにずっと陰として支えてきた夫巍とパートナー西村京太郎の存在が欠かせない。そもそも西村京太郎が山村美紗を何十年も愛し続けてるなんて知らなかった…。美紗没後、美紗の肖像画を描き続けた巍。解説が巍と再婚した祥に驚き。それぞれがどんな思いで繋がってるのか読了後に納得。そして山村美紗は→2025/06/08
萩
54
なんでこの本を予約したんだっけ?なんで2人しか予約してなかったのに5ヶ月も待たされたのけ?と謎を抱えたままミステリーの女王と呼ばれた山村美紗さんのノンフィクションを読みました。美紗さんの本は中学生の頃キャサリンシリーズを数冊読んだっきりです。題名にあるふたりの男、というのは美紗さんの夫と西村京太郎氏のことで、不思議な三角関係の実態?が書かれていました。出版不況といわれる昨今では考え難いくらい何ともバブリィな生き様でした。あとがきと解説がこの本の内容をグッと底上げしています。2023/03/26
どあら
30
図書館で借りて読了。若い頃京都へ旅行に行ってかの家の前を通り、初めて有名人の家を見てドキドキしたことを覚えています。これまでの何かが欠けていたら山村美紗さんは存在していなかったなと思いました。2023/09/03
-
- 和書
- 調理を学ぶ (改訂版)