内容説明
カリスマ経営者はなぜ「強欲な独裁者」と化し、日産と日本の司法を食い物にしたのか?知られざるゴーンの生い立ち、私物化の実態、マクロン大統領との確執…世界中が驚愕した前代未聞のスキャンダルの全貌を明らかにした迫力のノンフィクション。不正発覚から電撃逮捕までの裏側、国外逃亡の衝撃の手口など、新事実を大幅に加筆して文庫化。
目次
第1部 特捜の戦い(電撃逮捕;極秘捜査 ほか)
第2部 独裁の系譜(恐怖政治;財閥解体 ほか)
第3部 統治不全(マクロンvs.ゴーン;「核兵器のボタン」 ほか)
第4部 ゴーン逃亡(驚きの手口;歓迎と批判 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホシ
21
一連のゴーン事件を詳らかにします。1部/検察の奮闘、2部/独裁を生み出す日産の体質、3部/日産の覚束ない企業統治、4部/ゴーン逃亡で構成され、どの部も手に汗握る展開に4編のサスペンス映画を見た気分でした。思うにブラジル生まれのゴーンは仏で活躍するも彼らに評価されている訳ではなく胸中は憤懣で一杯。日産をV字回復させ藍綬褒章の受賞も相まって、ようやく報われる思いを味わう。同時に傲慢さの素地も形成される。そこへリーマンショックが引き金となってゴーンは資金流用を常態化させていった。…というのが私の読みです。2022/02/12
タカボー
13
日産を短期間でV字回復させたのは本当に凄いとしか言いようがない。部外者として乗り込んで、自分自身がめちゃくちゃ働いて、自らコミットして、各セクションで相手を質問攻めにして…。ただ長くやりすぎたのかなぁ。実績をあげるほど自分の全てを正当化して、イエスマンばかり集めてしまう。レバノンに逃亡した時、日本の空港はなんてザルなの?と思ったけど、プライベートジェットの荷物ってX線検査無いんだな。呼吸できるように工作した専用の箱を特注したり、それだけでも金の使い方の感覚が、庶民の私の理解を超えてる。2021/09/04
スプリント
12
経営能力や折衝能力に秀でていたのだろうが慢心しすぎたな。東洋の島国と思って侮っていた面もあるのだと思う。2023/12/20
Mark X Japan
12
日産のこの20年の振り返りです。この20年、日産の中心にいたのは、ゴーンでした。経営再建の手腕は認めますが、後半の公私混同は目に余ります。ゴーンの毀誉褒貶や功罪よりも、日産の組織としての在り方の方が大きなことでしょう。ゴーンショックでも、ここは変わらなかったでしょう。☆:4.02021/11/16
Nobu A
8
2020年初版。世間を賑わせたカルロス・ゴーン逮捕と海外逃亡。最近は全く耳にしない。朝日新聞取材班が時系列に日産の歴史も紐解きながら真相に迫る。一定の客観性を保ち、事実を丁寧に積み上げながら時折記者の考察。断片的なネット記事やテレビ報道では見えない全貌が見えてくる。大胆なリストラ手腕、迫力ある話術、精力的な仕事ぶり、そして綿密な情報収集力を持つカリスマ経営者がどのようにして企業の私物化に至るか。製造業の再建を目指すマカロン仏大統領との絡み等、事実は小説より奇なり。読み応え十分。人は変わると改めて思う。2022/03/06