内容説明
秀吉は暗躍するイエズス会を通じ、光秀の裏切りを事前に知っていた。盟友信長を亡くした家康は、逆臣に戦いを挑むことを決意する。弔い合戦としてまず北条勢を撃退した後、いよいよ秀吉と対峙する―。この戦いは欣求浄土へ向けた最初の挑戦である。最新史料をもとに家康の生き様を描いた戦国大河シリーズ「信長編」全六冊堂々完結!!
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒業。90年『血の日本史』でデビュー。2013年『等伯』で第一四八回直木賞受賞。20年第三八回京都府文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
175
安部 龍太郎は、新作中心に読んでいる作家です。★安部龍太郎版家康完読幕府 https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11880428 第六巻は、小牧・長久手の戦いでした。著者の見解では、本能寺の変の首謀者は、近衛前久のようです。ここで「信長編」完結、続いて第七巻へ。 https://www.gentosha.jp/series/ieyasutetteikaisetsu2023/01/02
ちょろこ
121
家康の人生六巻の一冊。打倒、秀吉!信長亡き後、天下取りへとまっしぐらな秀吉。もちろんこれに対して家康は黙っちゃいない。この決意を詳細に味わえるのが小説の良いところ。特にお市の最期は小説ではサラッといきながらも、文といい随所で感じられるお市の想い、ままならない二人の想いがまたせつない。秀吉の知略に屈辱と後悔の家康。キレ者本多正信と石川数正の不協和音も感じる中、燃え上がる"赤尻の猿"討ち取り作戦。上下関係なく語り合う茶室の場を設けるのも、正信との問答も、天下取りへのエネルギーも、トップに立つものとしてお見事。2023/08/19
さつき
65
甲州合戦から小牧長久手の戦いまで。信長死後の混乱をしぶとく生き抜こうとする家康はすっかり頼もしくなりました。本多正信が繰り返し警鐘を鳴らす、黒田官兵衛や細川幽斎などのクリスタン関連のライン、そしてその後援を受ける形で成り上がろうとする秀吉との駆け引きが今後どう描かれるか。興味は尽きません。2022/11/15
ケイト
57
「どうする、どうしよう」と言っていた家康が40代になり狸然としてきた。奥平に嫁いだ亀姫は5人(男4人女1人)も産んだようで、鳥居強右衛門も墓場の陰で喜んでいるに違いない。今回本能寺の変の真相が次々に出てきて、色んな人が繋がっていたのにも驚いた。口の悪い本多正信が「巷の破落戸(ごろつき)と同じでござる」と語る「赤尻の猿」もそのひとり。相変わらず家康は正信の物言いにイラッとしながら頼りにしているのが面白かった。ただお市と家康の束の間の文のやりとり、歌に添えられたお市の黒髪⋯これは哀しい結末だった。2023/06/26
えみ
49
こんなにも徳川家康に向き合って良かったと思わせてくれる歴史小説には滅多にお目に掛かれない。6ヶ月連続刊行『家康』信長編が遂に完結。小説の中に史料としての価値がある戦国時代の教科書。常に見えているものこそ手に入れることが困難である…という戒めがズシリと響く。人の弱みに付け込み脅してもぎ取った勝利に果たしてどんな価値があるのか。耐え忍ぶ生き方が勲章となった漢・家康の半世紀。武将としての成長は勿論の事、それ以上に人としての成長が人を動かし国を造り「乾坤一擲、欣求浄土」の路へまた一歩近づいていく。素晴らしき大河。2020/12/14