内容説明
雨野隆治は25歳、大学を卒業したばかりの研修医だ。新人医師の毎日は、何もできず何もわからず、上司や先輩に怒られてばかり。だが、患者さんは待ったなしで押し寄せる。初めての救急当直、初めての手術、初めてのお看取り。自分の無力さに打ちのめされながら、ガムシャラに命と向き合い成長していく姿を、現役外科医が圧倒的なリアリティで描く。
著者等紹介
中山祐次郎[ナカヤマユウジロウ]
1980年神奈川県生まれ。鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院大腸外科医、福島県広野町・高野病院院長を経て、郡山市・総合南東北病院外科医長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆいまある
136
外科医でもある作者が、都立駒込病院勤務時代の経験を元にした小説。ブラックジャックによろしくをライトにしたような。泣いてばかりの熱い医者なんだけど、エンタメ作品としてさらりと読める。何故東京に来たのかとか、背景の多くは語られていない。シリーズになっているのでここから明かされるのだろう。患者が心配で病院にずっと泊まり込みソファで寝て、毎日きついのに医者になった誇らしさで一杯で、もっと学びたいと思う。ああ、私も研修医の頃そうだったな。辛いけどやっと医者になれて誇らしかった。続きも読みます。2021/10/18
ponpon
114
新人研修医・雨野隆治の物語第1巻。医師免許を持つ医者ながらも、何一つ独力ではできない。そんな無力感と闘いつつも、一歩一歩と経験を積み成長していく様が描かれる。主人公は、とことんストイックな生き方をする人物で、何故ここまでと思うが、エピローグで自身を追い詰める理由が解り言葉を喪う。意識の底に抑圧した後悔。そんな想いをする家族を一人でも救いたいとする主人公の考えが胸を打つし、著者自身の想いの投影なのだろうか。救えなかったイシイと、辛うじて生を繋いだ山下少年などコントラスト強烈な物語群。大満足で次巻も読みたい。2021/05/30
五右衛門
111
読了。初めての作家さんでした。何だか仕事が出来ない研修医の話かな?こんなにしんどい状態で仕事してます。的な話しかな?ごめんなさい。心が折れそう?いや折れていながらも医者になっていく壮絶な過程を彼を通じて見せられました。彼自身も辛い過去がありそれを乗り越えて行けそうでしたね。しかもチョイチョイ彼を取り巻く人達がいい味出してます。も~また一人追いかける楽しみな作家さんが増えましたよ。2021/01/18
ノンケ女医長
103
臨床業務に疲れやすくなり、「自分、何やってるんだろう」と思っていたときにタイトルが目に入り購入。共感できることばかり。プレゼンにやたら緊張するのも分かるし、救急外来に突然運び込まれた腹痛患者の診察も経験したから主人公の悩みは分かる。さまざまな理由で手術適応、挿管適応ではないと上級医の判断に躊躇する点にも強く共感した。表紙に描かれた、少し影のある研修医は、ポタポタと病院で泣く。その理由は、医師になって初の夏休みに帰省した場面で明らかになる。彼は「自分のせいで」と自責しながら医師を志したと知って、私も泣いた。2020/09/26
TAKA
94
一人前の医者になるのはまだまだ先の研修医雨野隆治の奮闘記。ドラマ放送中ということもあって読んでみた。医療物にしては重くなく楽しく読めました。それにしてもゲロ吐くシーン多くねぇか。なんにしても1年生は過酷です。頑張るしかないんです。著者自身の体験談のようなので専門用語からしてリアル感がありました。兄ちゃんのシーンは切ない。こうやって読むと改めて医療従事者には感謝です。2021/06/24