内容説明
破綻国家の国債を二束三文で買い叩き、欧米で訴訟を起こし、勝訴判決を受けるや、その国のタンカーや外貨準備、はては人工衛星まで差し押さえ、投資額の十倍、二十倍のリターンをむしり取る「ハイエナ・ファンド」。日本ではほとんど報道されていないその実態や欲望渦巻く国際金融市場の苛烈な闘いを、綿密な取材をもとに描ききった話題作!
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社に二三年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンス、貿易金融などを手がける。2000年、『トップ・レフト』で作家デビュー。1988年より英国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すのす
5
疲れたので、小説で気分転換。黒木亮の経済小説が好きなので、入手。今作は舞台が世界中を転々とするのと、事実に基づく作品だという点から、やや淡々と進む。タンカーごと差し押さえる、とかスケールの大きさやテクニカルさに驚くが、ハイエナファンドの強欲さ、容赦のなさを物語っている。最貧国支援も、思いやりだけではやれない。旧宗主国との関係、自国内の内戦、各国の思惑、など複雑な要素が絡み合う現実の経済・外交問題。登場人物の生き方や家族の話に触れる時のみ、みんな生きてる人間の営みだと思える。2020/02/17
Micky
5
黒木亮の作品の中でも最も難しい。とにかくスケールが国家レベルに拡大した。馴染みのない金融用語、それもハイエナファンドの用いるギリギリのスキームなのでITに埋没している私には初めての言葉オンパレード、なかなか手強い。まあ、黒木さんなので覚悟の上ですが集中力がいる!。 感想後半は下巻に続く。2019/11/01
terukravitz
4
図書館本★☆☆☆☆2021/04/13
Hideki Ando
3
ようやく文庫本になったため,読むことが出来た。ハイエナファンドと汚職国家,そしてNPOの三つ巴となっていたという話だった。実際に起きていた話をベースに書かれているということだが,そのようなことが起きていたとは知らず,勉強になるところでもある。2019/12/02
SEAN MIZU
2
開発経済と独裁者の間を貪欲な国際金融が貪る構図は、黒木節と言ったところか。 Rights and Obligations領域でのCivil LawとCommon Lawの違いがやはり日本人的にはわかりずらいが理解を深める助力となった。 アルゼンチンの財政が復活したこのタイミングでの読了であるが、一部政治家の垂れ流しで国富が毀損している日本において、どんなリーダーが出現するのだろうか。ウカウカしているとハイエナにやられる。2025/01/26