内容説明
口は悪いが、情には厚い金貸しのおたつ婆。おせっかいが高じて、人助けばかりしている。今日も、文無しの浪人を介抱し、挙句「生き別れた娘に一目会いたい」という彼の最期の願いを聞くことに。僅かな手掛りを頼りに、おたつは長屋の仲間達と奔走するが…。おたつ自身もまた、己の過去を清算すべく、ある人物を捜していた。人気シリーズ第二弾。書き下ろし。
著者等紹介
藤原緋沙子[フジワラヒサコ]
高知県生まれ。小松左京主宰の創作教室「創翔塾」出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
156
前作からかなり待った。楽しみにしていた第二巻。タイトル作【鬼の鈴】に【桑の実】どちらも、金貸し・おたつは結局は人助けをする。肝心の吉次朗の行方捜しは少し前進するが、藩主の後継も風雲急を告げる感じになって、次が楽しみです。早く読めますように。2019/09/20
やま
90
秘め事おたつシリーズの2作目。 2019.08発行。字の大きさは…中。 花岡藩の奥女中を取り締まる重いお役の多津が、5年前に殿様の命により側室・美佐さまの子・吉次郎さまを探すため裏店・稲荷長屋にて金貸しを営む。名前を「おたつ」に変えて。 吉次郎さまは、5年前に押上村の名主の家に女中の萩野と一緒に匿われて居たことが分かるが。不審な侍が来たので萩野と吉次郎は、押上を出て行く、その後の消息が分からず。 また、おたつは、弥之助、岩五郎と一緒に娘をさがし続けていた甚三郎を娘・千絵と合わせる。 次作が楽しみです。2019/11/16
はつばあば
53
男ってまぁ・・藩主の頼みで側室の子吉次郎を青茶婆をしながら探しているのに、また他の侍女に手をだして子供ができた?ナンタルチア(◞‸◟)。おたつさんも大変だ。市井の父と子「鬼の鈴」と「桑の実」の2編。この歳になると親の心も子の心も味わってきた。親であることのありがたさとしんどさ。子供にも同じように、親に対するありがたさとどうにもならない苛立ちに振り回される。人情モノって悟らせ悔い改めさせる・・悪者退治じゃないものね。2023/03/12
真理そら
43
烏金のおたつさんはこんなに人が良くて本業の方は大丈夫だろうか、人探しは少しずつ前進しているけれど。「鬼の鈴」「桑の実」の二編。両方とも父親の家族に対する愛情で清々しい気持ちになれる。胸をえぐるような感動作になりそうなテーマがサラッと描かれているので、個人的には好きなシリーズ。2019/08/07
kei302
35
文字が大きくて読みやすい。シリーズ第2弾。柴犬の「とき」が「トキ」の表記に変わった。 そして、『孝行番犬』として有名に!活躍していたのか?台詞は吠えるときの鳴き声だけ。 おたつさんの口は絶好調。「そうかな、単なる妄想だろ」には笑った。妄想と言われた弥之助に意外な人が弟子入り。 都合よく終わらせないところがいい。次は出るのかなぁ・・。 2019/10/01