内容説明
「東京の隠された怪異」の取材で二十三区の都市伝説の現場を巡るライターの原田璃々子。霊を信じない先輩・島野と取材を続けるが起こるのは奇妙なことばかり。“池袋の女”のポルターガイスト伝説、東向島の“迷路”に消えた小説家、願いを叶える「立石様」の奇跡…。そして「将門の首塚」の取材中、璃々子は二十三区最大の禁忌に触れ―。
著者等紹介
長江俊和[ナガエトシカズ]
1966年大阪府生まれ。映像作家、小説家。深夜番組「放送禁止」シリーズで数多くの熱狂的ファンを生み出した。2014年には小説『出版禁止』を刊行し話題になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
134
★★★★★★☆☆☆☆『東京二十三区女』の続編となる怪奇系探索ミステリ。フリーライターの璃々子はある思惑を持って東京二十三区の心霊スポットを巡るが、最恐の禁忌である「将門の首塚」に触れたことで事態は思わぬ方向へ…。前作同様、各区にまつわる都市伝説や怪奇現象を先輩・島野の蘊蓄を添えて描き上げる連作短編集。ただ禁止シリーズのように読後すぐ解説サイトを漁りたくなるようなギミックは少なめで、期待値が高かっただけにやや消化不良。前作の核心部のネタバレに触れているため、興味ある方はまず第1弾から読むことをお勧めします。2022/03/25
ちょろこ
114
開いた口が塞がらなかった、一冊。今回も楽しめた。相変わらず後ろをついてきて蘊蓄を披露する先輩。今回の数々の蘊蓄の中では池袋に秘められた歴史が一番興味深かった。蘊蓄とリンクしながらの物語も、涙誘う葛飾区が印象的。そして迎える千代田区は将門の首塚といい、やっぱり一番の衝撃でトリに相応しい。現実を見るんだ…というこの言葉にずっと激しく同意しながらもこの言葉の意味するもの、これに気がついた時、しばし放心状態。開いた口が塞がらなかった。良い意味でひっぱってくれたなぁ。続編が早くも楽しみ。2019/09/03
aki☆
83
シリーズ2作目。今回も民俗学に詳しい「先輩」から東京二十三区のうち四区の伝承や怪談を混じえた興味深かい蘊蓄を聞けて、知られざる東京を楽しめた。『豊島区』の話は事実に基づくもので特に面白かった。『葛飾区』はウルっとくるいい話。前作より怖さは感じられなかったな。「先輩」に関する謎を知りたくて読み始めたのに新たな事実に驚愕😳そしてまたしてもモヤモヤ…。まだまだ楽しませて貰えるってことかな💕2019/12/23
Yunemo
81
あの女は誰?最後まで来て納得。それにしても前作といい本作といい東京23区女(やっと9区に纏わる話まで)を民俗学的、歴史的視点で記され、味わい深く。でもね、結局のところ、せっかくの23区女の構想が台無しになってしまう考え方もありますよね。いわゆる過去に纏わる物語と現実にその場所を辿る、歩き回る場面のギャップさが、でもいつの間にか一体化してしまって、何なのこれは?という感覚に。けっして嫌いじゃないけど、大好きな展開とも言いきれません。案内人であるはずの二人がメインになっての終幕、前作のどんでん返しとも言えて。2019/12/08
dr2006
73
モヤ面白かった!東京23区の伝承や都市伝説がある怪奇スポットを巡る物語。東京の繁栄の影には葬り去られた歴史や封印された伝承がある様だ。生と死、こっちとあっちの世界両方を行き来して、いつの間にか自分がどっちに居るのかわからなくなる。主人公でさえ、そんな不安や戸惑いに襲われ、生きている絶対性が揺らぎ落ち着かない。ストリートビューで確認できる実在の場所の紹介と、伝承による作中奇譚が交互に展開されていく。この構成が巧みで、生死の区別が曖昧で主観的なものだと教えられる。続編を先に読んでしまった⒲1作目も読みたい。2022/03/16