内容説明
若き日も暮れる日も、それなりにいい…。長く生きすぎたと自らを嘲笑する、希代の美術家、篠田桃紅。一〇五歳を超えてなお、筆と向き合い作品を発表する。「歳と折れ合って、面白がる精神を持つ」「多くを持たない幸せ」「頼る人にならない。頼られる人にもならない」。一人暮らしを愉しみ、生涯現役を貫く著者が残す、後世へのメッセージ。
目次
第1章 歳と折れ合って生きる(亡くなった人にどこかで会えるかもしれない;楽観的に生きる ほか)
第2章 幸福な一生になりえる(生きていく力は授かっている;自分で人生を工夫する ほか)
第3章 やれるだけのことはやる(生き延びる;期待して生きている ほか)
第4章 心の持ちかたを見直す(自分で自分がわからない;人生の本分が大事 ほか)
著者等紹介
篠田桃紅[シノダトウコウ]
美術家。1913(大正2)年生まれ。墨を用いた抽象表現主義者として世界的に広く知られており、数えで一〇七歳となった今も第一線で制作している。その作品は大英博物館、メトロポリタン美術館をはじめ、世界中の美術館に収蔵されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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香菜子(かなこ・Kanako)
20
一〇五歳、死ねないのも困るのよ。篠田桃紅先生の著書。長生きは素敵なことだけれど長生きしているご本人からすると困るところもあるのかも。死ねないのも困るというくらい長生きされている篠田桃紅先生だからこそわかる悟りの境地のようなものがきっとある。篠田桃紅先生のように生涯現役で長生きできればどんなに素敵なことでしょう。2022/01/13
りるふぃー
11
桃紅さん、精神的に誰にも依存していない。『自分で考えて、自分で取り入れて、自分で人生を工夫する。考える力を放棄してしまってはいけません。そして、人に相談することは、人を頼りにすることではありません。相談してその人の話を聞いて、なお自分で考える。人の話に従うのは相談ではなく、その人の言いなりです。自分というものを、まずしっかり持ってから相談します』という文章が印象的でした。身体は不自由になっていっても、心はフル回転できる。芸術家でありながら哲学者でもあるなぁ、と思いました。2021/04/29
凛風(積ん読消化中)
9
今年2冊目の篠田桃紅さん。ご自身のことをサクッと書かれたエッセイで、長く生きる人は、自分との折り合いの付け方が上手だな、と思う。こうでなければいけない、というような硬直したものを何も持たない。何せ、100年生きていますから、と軽くいなして前を向く。この柔らかさが、心地良い。2021/09/04
Hisashi Tokunaga
1
大正生まれの女性の処世訓のひとつが「横着」という言葉で世間を切って見せる。この言葉の響きに大正生まれの存在感を感じた。2020/07/20
Juonn Izuhara
1
よくある役に立つ本。2019/08/10