内容説明
野菜とにんにくを煮込んだだけのやさしいスープ、せっかちな酒呑みのための三分おつまみアレコレ、シェリー酒に合う豚肉とアサリの白ワイン蒸し、かつお出汁をきかせたカレー鍋、残りめしを使った茶粥…台所に立つことうん十年、寝ても覚めても頭の中は食うことばかりの食いしん坊画家が、作り方と愉しみ方を文章と絵で綴る、美味三昧エッセイ。
目次
かぼちゃを塩で煮る
やさしい野菜スープの作り方
酢じめした魚の切身とおからの「きらずまめし」
鶏肉と生姜と塩だけ―マダガスカルの絶品スープ
ペルーのセビーチェ
プロセスチーズとハムとりんごとパン―「アメリカの弁当箱」
まずいまぐろのうまい食べ方
コンビーフのホットサンド
一皿一人分のちゃつ
めざしの炙り方〔ほか〕
著者等紹介
牧野伊三夫[マキノイサオ]
1964年北九州市生まれ。画家。92年に広告制作会社サン・アド退社後、油彩、木版画、コラージュなどの作品の発表を続ける傍ら、99年、美術同人誌「四月と十月」創刊。北九州市の「雲のうえ」や「飛騨」の編集委員も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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penguin-blue
49
グルメ本、ではなく日常に限りなく近いところで暮らしとしての「食」をどう愉しんで生きるか、という食の本。難しい材料や調理法ではないのに、食べた物の滋養が身体にしみわたり、美味しいお酒が飲める気がする。贅沢ではないけれど、豊かなのだ。特に鍋のレシピなど、気心が知れた人ばかりを読んで、裸電球の下、やや薄暗い明かりの下で土地のものを素朴に味付たものを肴に、うまい酒を飲みながらとりとめもない馬鹿話で延々と夜が更ける。食べたものや、飲んだものが血となり肉となり、後に懐かしく思い出す、そんな集まりをしたくなってくる。2020/02/29
ホークス
34
元本は2016年刊。画家である著者が日々の食事について綴るエッセイ。あれこれと考えて料理する様子、外出先で出会った味などが、飾り気のない言葉で穏やかに語られる。読んでいてゆったりした気分になった。作るのは素朴な簡単なものが多く、どれも美味しそう。各話は短い。表題作も2ページで、かぼちゃの煮物が嫌いな著者が、八百屋のおばさんから「塩で煮てごらん」と勧められる話。かぼちゃを煮る描写に、何か大切な事を体得していく清澄さを感じた。断食体験ではアルコール抜きの夜に怯え、自分の浅ましさを思い知る。味わい深い一冊。2024/01/28
はち
23
食いしん坊画家のお料理エッセイ。昔食べたもの、旅先で気に入ったものを自宅で再現したり、自分なりにアレンジしているうちに料理に目覚めたのかな?酒呑みの彼が作るものは実に美味しそう♡季節感もあり、素材を生かした料理は生唾もの(≧∀≦)夏も冬も夕食には七輪に炭をおこし、肉やとうもろこしを焼く。ビジネスホテルでは御当地の食材でプチ自炊。目から鱗の断食によるデトックス。写真も挿絵も実にイイ♫私も真似してみたい!と思う部分も沢山有り!...ただ、こんな旦那がいたら...面倒くさいなぁ〜😓とも思った(笑)2019/11/21
ろここ
19
平松洋子さんの本に登場していたのがきっかけで手に取りました。かもめ食堂の表紙の絵を描かれた画家さんは、とっても食いしん坊でまめな人でした。簡単そうなお料理ですが、センスと手間と工夫がとっても素敵。古いラジカセで音楽を聞きながら、一昔前のようなまったりと流れる時間と素材の味を楽しむ姿がよかった。文章も絵も写真もどれもよい。美味しいお酒を呑むための簡単おつまみが特に洒落ててよかったなぁ。何度も読みたい本。2020/02/08
はこ
11
文庫本の表紙はこんな感じなのですね。単行本は美味しそうなかぼちゃのイラスト。美味探求といっても、鍋やおでん、牛丼、海外で出会ったその土地の味、それを自宅の台所で再現してみたり、とにかく牧野さんが美味しいものを食べたいなという気持ちがあふれでている本でした。アサリの砂抜きのところは笑えたし、旅先のホテルで自炊に挑戦した話や、断食の話もとにかく面白かったです。日々のごはんがいとおしくなりました。2022/10/10