内容説明
薫が働くのは、札幌にある眠りの森クリニック。“ねぼすけ”だが腕のいい眠りの専門医・合歓木院長のもとには、毎日ひっきりなしに患者が訪れていた。子どもの夜泣きに悩む母親には「虫切り」のおまじないを、金縛りにうなされる少年には眠りを誘うホットミルクを…。薫は合歓木のもと、眠れない人をさまざまな処方で安らかな夜へと導いていく。書き下ろしキャラクターノベル。
著者等紹介
田丸久深[タマルクミ]
1988年北海道生まれ。2015年に『僕は奇跡しか起こせない』(宝島社文庫)で第一〇回日本ラブストーリー&エンターテインメント大賞の最優秀賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
160
それぞれの悩み、それぞれの想い、いろいろ交差して…。理想と現実の違いを見せつけられた気がします。こうやって書くと重たいような話だと思われますが、そんなことは決してないです。心が温まる優しさ溢れる作品です。歩も名前の通り歩みだし、薫も早く恋の薫りを嗅いでほしいです。ラストはかなり引きこまれました。田丸久深さんの終盤のたたみかけは、引きこまれました。2019/03/08
おしゃべりメガネ
155
北海道出身作家「田丸」さんのゆったりとしたのほほん作品です。札幌にある『眠りの森クリニック』で事務として働く「薫」は弟「歩」と二人暮らし。両親を事故で亡くし、決して裕福ではないながらもお互いを支えあって暮らしています。「薫」が働くクリニックの専門医「合歓木」はどこか不思議でとぼけたドクターですが、しっかりと'眠り'に悩む患者達を診察し、様々な処方で安らかな眠りへと誘います。'眠り'に対する考え方や準備なども勉強になり、ほどよく様々なキャラも登場し、いい意味でストレスを感じないまま、サラッと読了でした。2019/05/13
ポチ
53
日常生活に色々ある悩み、問題を睡眠を通して緩く解決していく、温かい作品。2019/04/17
ぶんこ
49
眠りの森クリニックに訪れる患者と医師の物語かと思っていたのですが、ちょっと違っていました。クリニックで事務を担当する薫が主人公。両親を交通事故で喪い、高校生の弟との二人暮らし。両親の葬儀から手助けしてくれたアパートの大家空田さんと、隣室の秋峯さん、そしてクリニック医師の合歓木さんと双子の宮田姉妹。薫の周りには手を差し伸べてくれる人がいる。弟の歩も進学校で辛い目にあったが、優しい男の子に育ってくれてます。薫の友の穂波さんは危なっかしいところがあるものの、薫や空田さんがいてくれる。これは心強いでしょう。 2021/10/22
あつひめ
48
ゆったりとした物語の中に、チクッとする内容が織り交ぜてあったり。私は好きだなぁ。物語があたふた展開するよりも一人一人が抱えている口に出しずらい問題が時間をかけることでじわっと滲み出すような。眠りってとても大事だけれど、すんなり眠りにつくのが難しい人って本当につらいと思う。私自身は眠れすぎて困るほど。それもまずいのかもしれないけど、睡眠の悩みと心の悩みは共通している。あー、続編が読みたい。田丸さんは漢方のことや眠りのことすごく勉強されているのでとても楽しく読むことができた。2021/05/11
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- 和書
- 列車はこの闇をぬけて