内容説明
北米からの帰国者に感染力の高い新型肺炎の疑いが生じる。連行は細菌兵器ゆえの隔離、ヒューマノイド対応だったのか。テロ集団はなぜ「破壊」でなく「消滅」という用語を使うのか。様々な憶測が渦巻くが依然、首謀者が誰か掴めない。やがて孤絶した空港に近づく高潮の危険。隔離された10人の忍耐と疲労が限界を超え「消滅」が近づいた時、爆発音が!
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年「夜のピクニック」で吉川英治文学新人賞と本屋大賞、06年「ユージニア」で日本推理作家協会賞、07年「中庭の出来事」で山本周五郎賞、17年「蜜蜂と遠雷」で直木三十五賞と本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
131
エンタメ感溢れる、一冊。テロリストは誰?何を消滅させるの?上巻に引き続き興味は尽きなかった。「孤独な肺炎」はタイムリーだし、それぞれの視点で人物像を分析するシーンは誰もが見事に怪しくて面白い。そして緊迫した状況なのにどこかゆるっと脱力感を感じさせるところ、この緩急が良いアクセントになっていて飽きなかった。そして気がつけばあっという間のラスト。意外感でいっぱい。この「消滅」の着眼点と発想は面白かったな。恩田さんのエンタメ感溢れる空港を舞台にしたドロン、最後まで楽しめた。2020/03/24
yoshida
98
「消滅」の意味合い。実現されれば、画期的な事象で一気に拡大するだろう。それはさておき、テロリスト容疑をかけられた人々の展開は何だったのか。空港で起きた爆発やら、意味深な伏線は数々あったが回収しきれなかったのだろう。最後に様々な謎が明かされる。物語を膨らませただけに、その収束は期待外れとも言える。そもそも、これだけ多くの登場人物が必要だったのか。同じくエンタメで登場人物の多い「ドミノ」の方が圧倒的に面白い。あくまで私にとってだが、眠たい読書時間となってしまった。残念。2021/09/12
NADIA
81
テロリストの疑いがあるとして国際空港の入管で足止めを食ったまま一夜を過ごすことになった10人。我慢も限界だが、事態は重くなるばかり。テロリストは10人の中の誰なのか?目的はいったい?? 状況の重さの割に軽く読み進められ、最後の結末まで面白かった。恩田作品にはぼんやりとフェードアウトするようなラストを迎え物足りなさを感じる物語も多いが、この作品はびしっと結末が決まっていて、そこもとても良かった。やっぱりキャスリンが一番印象深い。別の物語に登場したりすると面白いな。 2020/12/17
annzuhime
47
スリリングな展開に比べて、結末は軽かったかな。恩田さんらしくなく、綺麗にまとめられた結末でした笑。でも途中の混沌としたドキドキ感はさすがの恩田節。この世界観から途中で抜け出すことができない楽しさがたまらなく好みです。結末は軽かったけど、楽しみました。2019/03/18
rio
45
テロリストの正体が掴めぬまま、北米からの帰国者に新型肺炎感染の疑いが生じる。閉鎖された空間の中で疲労が限界を迎えたとき真実が明らかとなるサスペンス。膠着状態が継続し、緊張感高まる様子をほぼ会話と心理描写だけで表現する手法は流石でした。キャスリンの不穏な雰囲気と相俟って、誰もが怪しく見えてきた中、ついに真相が暴かれるときはドキドキしました。結末に関しては賛否両論ありそうな形でしたが、全体を通して考えると面白かったのかなと思います。2019/06/29