内容説明
大学病院から、在宅で最期を迎える患者専門の訪問クリニックへの“左遷”を命じられた三十七歳の倫子は、慣れない在宅医療にとまどう。けれども、乳癌、筋ジストロフィー、膵臓癌などを患う、様々な患者の死に秘められた切なすぎる謎を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けする医療の大切さに気づく。感涙の医療ミステリ。
著者等紹介
南杏子[ミナミキョウコ]
1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大医学部に学士編入し医師となる。2016年『サイレント・ブレス―看取りのカルテ』で小説家デビュー。現在、都内の終末期医療専門病院に内科医として勤務中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
243
『苦しみに耐える延命よりも、心地よさを優先する医療もある、と知った』。そんな倫子が、『訪問診療』の現場で『終末期』の患者と向き合っていく様が描かれたこの作品。そこには、現役の医師だからこそ描けるリアルな物語の姿がありました。『終末期』の患者さんそれぞれの思いに胸がはちきれそうにもなるこの作品。そんな患者さんにあくまで冷静に向き合っていく倫子の姿に医師という職業の貴さを思うこの作品。あなたにも、そして私にも必ず訪れるであろう、人の最期のあり方に思いを馳せてもしまう素晴らしい作品。これぞ傑作!だと思いました。2024/11/28
ゆいまある
195
間違いなく年ベス入り。良かった。親の看取りや主人公が女性医師であることなど刺さりまくり。泣いて笑って謎解きもある和菓子のアン的コージー・ミステリ。キャラも立ってる。終末期医療がテーマなのに湿っぽくない。安らかに送ってあげるのが正義。こういう小説が出てくる時代になったんだな。看取る側からすると、意識のない高齢者に胃瘻なんてしたくないし、呼吸器なんて付けたくない。その一方でどんな姿でもいいから生きていて欲しいという家族の気持ちも描かれている。オーロラは分からなかったけど、MK,EKは分かったぞ。2022/03/20
machi☺︎︎゛
127
新聞で紹介されていて読みたかった一冊。看取りのカルテとあるように在宅で幕を閉じていく人たちのそれぞれの逝き方。思い通りに逝ける人と不本意な形で見送られる人。色々な形があるけど、看取る方もそれなりの覚悟の日々を過ごさなければいけないんだな。作者が医者という事もあってリアルな感じがすごく伝わった。2019/07/26
五右衛門
118
読了。初めての作家さんでした。医療系のお話で題名通り最後の看取りの物語でした。自分自身も家族、知人等のお葬式などで見たり、話を聞いたりしながら自分自身の最後ってどんな感じなんだろうと…この物語を読みだいぶん考えさせられました。けれど難しいです。私は家族に迷惑が掛からない主人公のお父さんの遺言みたいに(後で見つかるのですが…)死にたいかな。しかしながら主人公も悩みながら周りの仲間、教授に助けられながら乗り越えていきます。皆さんのキャラも良いですね。次作も楽しみです。2021/01/22
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
114
大学の医局から左遷とも言える人事で小さな訪問診療クリニックへ来た主人公。彼女の主な患者は末期癌などで人生の最期を自宅で迎えたいと言う人々だ。穏やかで安らぎに満ちた最期、サイレント・ブレスを守る医療。自分では終末期を迎えた時、単なる延命措置は施してもらいたくはない。ただ自分ではそう判断できても、いざ家族がそのようになった時、冷静に看取ることができるかと言うと難しい。少しでも可能性があるならばなんとか治療して欲しいと願うだろう。初読みの作家さんでしたが、良いお話でした。五つ星です!★★★★★2022/04/29
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- 和書
- 島津斉彬公伝 中公文庫