内容説明
10代前半から統合失調症に苦しんでいたハウス加賀谷は、松本キックという相方を得て、病と闘いながらもお笑いの世界で人気者になる。しかし、活躍と反比例するように、症状は悪化。人気絶頂の松本ハウスは活動を休止した。精神科に入院し治療する加賀谷を黙って待ち続けた松本。10年の時を経て復活ライブに挑んだ二人は大歓声に迎えられる。
目次
序章 あの時のこと―松本キックから見て
1章 統合失調症の発症(良い子の石の仮面;真っ黒い塾ノート ほか)
2章 松本ハウスという居場所(コンビが誕生するまで―松本キックの立場から;爆笑、ときに偏見 ほか)
3章 入院生活(初めての閉鎖病棟;注射と読書の日々 ほか)
4章 復活に向かって(解き放たれていく感情;アルバイト物語―漫才ふうのインタビュー形式で ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひみーり
7
ちょっと言うのに覚悟がありますが私も当事者です。なので本書で書かれている内容に共感しながら読めました、この病気は100人いたら100通り症状が違うと思います、だから知り合いにその病気の人がいたとしても思考停止にステレオタイプに包丁を振り回す危ない人と思ってほしくないです、無知それはあまりにも無知、幼少期の時の話もそうだが知らない事ってこんなにも悲しいのだな、知っていれば悲劇にならなかったかもしれないのに。統合失調症への正しい認識が世の中に伝わる事を祈って。2019/05/26
きのこ
7
「自分以外を攻撃することで、正当化し、作り上げた自分はもろい。調子を崩すと待ったなしに、自分を殺せと牙をむく。暴れ出した『負の力』は、手がつけられなかった。自分一人ではどうすることもできなかった。」(p125)2019/01/23
チェアー
6
単行本は読んだが、文庫として再読。 忘れていたことがたくさんあった。加賀谷がキックとお笑いをやりたいと電話で必死で話す場面は涙なしには読めなかった。自分にとってキックは必要不可欠な、自分が自分であるために絶対に必要な人なのだとわかっていた。その必死の思いを想像すると、泣けてしょうがなかった。 この本は闘病記と言えるが、別の側面で言えば、加賀谷とキックが出会い、お互いに人生の大切な存在になっていく物語でもある。 2024/11/12
かわすみす
6
「タモリのボキャブラ天国」「進め!電波少年」などで人気を博した、芸人・松本ハウスのハウス加賀谷の統合失調症発症にまつわる物語。幼少期の抑圧的な生育環境、思春期に出始めた幻聴や幻視などの生々しい描写、内服治療のコンプライアンスの重要性、芸人絶頂期での入院生活など、当事者にしか語れないリアルな闘病記。相方松本キックが発症後の加賀谷と適度な距離感で接している様子は簡単そうで実際には難しい。松本の視点として「相方は統合失調症」と併せて読みたい。困難な治療を経て舞台に戻ってきてくれたことは、病気の啓発に繋がる。2021/07/25
へい
6
ハードカバー版で読んだ時に気づなかったけれど加賀谷君もキックさんも若かりし日に目指していたのは世捨て人だったんだなと気づいた。私も当事者として改めて本書を読んで本当に共感した。私の場合職場に恵まれたおかげで認知のゆがみがだいぶ改善されているように感じるけれど、加賀谷君の場合はキックさんとの出会いが大きかったんだろうなと思う。本当に多くの人に本書を読んでもらってメンタルの不調というものがどういったものかというものを知ってもらいたいと思う。あとは加賀谷君のお母さま本当にご苦労様でしたと伝えたい。2018/06/21