内容説明
狸の名門・下鴨家の矢三郎は、親譲りの無鉄砲で子狸の頃から顰蹙ばかり買っている。皆が恐れる天狗や人間にもちょっかいばかり。そんなある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎ“二代目”が英国より帰朝し、狸界は大困惑。人間の悪食集団「金曜倶楽部」は、恒例の狸鍋の具を探しているし、平和な日々はどこへやら…。矢三郎の「阿呆の血」が騒ぐ!
著者等紹介
森見登美彦[モリミトミヒコ]
1979年奈良県生まれ。『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞、『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katsubek
196
エブリデイマジックというよりはハイファンタジーと呼ぶのがふさわしい。我らがよく知る現世を舞台に借りて、不思議な世界が繰り広げられる。阿呆の血のしからしむるところの英雄譚が語られ、その速度感、高揚感にひたっていると、突然に落語のサゲが挟み込まれる。う~む、まことに油断がならない。そのうち、ハリウッドから声がかかるのではないか。……いや、それはないか。ともかくも、500ページ超という長さを感じさせず、読む者にそこはかとない幸福感を覚えさせてくれる。さて、狸たちの未来やいかに。続巻が待たれるところである。2017/10/12
kaoru
193
前作の雰囲気はそのままに、新キャラも出てきて、悪ふざけ感とカオス感が増しています。前作を楽しめた人は絶対今回も楽しめます。個人的には狸たちの恋愛の話と各勢力が入り乱れた終盤がお気に入りです。2017/04/16
ぱるぷ
184
★★★★☆ 独特な世界観や言いまわしが魅力的‼︎ 『メチャンコ可愛い毛玉』なんて表現、最高にほっこり癒される‼︎2017/07/25
佐々陽太朗(K.Tsubota)
181
なんとハードボイルドなラストシーン。切ないではないか。下鴨矢三郎は狸でござる。どうしようもなくそうなのだ。矢三郎に救いがあるとすれば、それは海星という許嫁だ。矢三郎と海星は赤い糸でぐるぐる巻きに結ばれている。海星が矢三郎の前から姿を隠し、許嫁の関係から身を引いた理由たるやなんとも可愛いではないか。しかしそれをここで語るわけにはいかない。成就した恋ほど語るに価しないものはない。これはかの名作『四畳半神話体系』に書かれた登美彦氏の名言である。 近く矢一郎と玉瀾の結婚を祝いに下鴨神社を訪れねばなるまい。2017/05/14
mocha
144
天満屋、そちも悪よのぅ。二代目、なんとかしてよー!と何度思ったことか。頼れるものは結局下鴨家の兄弟愛。海星が姿を見せないわけもわかったし、ぽんぽこ仮面も登場して、ハラハラわくわくニマニマしながら読んだ。狸を超越した祖母が可愛かったなあ。二代目と弁天の今後も気になる!次巻がとても楽しみだ。2017/05/23