内容説明
兄の死以来、人が死ぬ小説ばかりを読んで過ごす亮太。けれど高校最後の体育祭をきっかけに付き合い始めた天真爛漫な小春と過ごすうち、亮太の時間が動きはじめる。やがて家族となった二人。毎日一緒に美味しいごはんを食べ、幸せな未来を思い描いた矢先、小春の身に異変が。「神様は乗り越えられる試練しか与えない」亮太は小春を励ますが…。泣いて笑って温かい、優しい恋の物語。
著者等紹介
瀬尾まいこ[セオマイコ]
1974年大阪府生まれ。2001年「卵の緒」で第七回坊っちゃん文学賞大賞を受賞しデビュー。11年に退職するまで中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行い、05年「幸福な食卓」で第二十六回吉川英治文学新人賞を、08年「戸村飯店青春100連発」で第二十四回坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
338
離れて気付くお互いの存在の大きさ。『神様は…乗り越えられる試練しか与えない』と信じる二人が乗り越えていく日常。真っ平らな道は歩きやすいかもしれません。でも、人生だから山もあれば谷もある。起伏のない人生なんてない。思いどおりにいかないこともある。でも焦る必要なんてない。神様が時々与えてくれる試練を乗り越え前に進んでいく。そうそう試練なんてやってくるものじゃない。そして、その先にきっと乗り越えたから見える未来がある。起伏があったからこそ見える未来がある。人と人との繋がりのあたたかさが沁み入るそんな作品でした。2021/07/06
馨
327
良かったです。登場人物がみんな良い人ばかり。主役の葉山くん&上村さんカップルの純愛でお互いを思いやり、支え合う姿もさわやかで素敵でした。2017/05/10
mae.dat
276
安心のまいこさんワールド( ¨̮ )。これこれ、これなんですよ。超サバサバ系女子と地味男君の恋愛ものですかね。4話の連作になっていますが、それぞれの山場が唐突で驚くやら。紆余曲折を経ながらも、まいこさんらしいほのぼの収束にホッとするやら。ズケズケものを言う小春さんと、それを気にしつつも受け入れる葉山君の掛け合いも楽しくてね。厚くはない本ですが、 二人の世界に凄く永く浸っていた気がします。ラストは辛い試練もありましたが、二人で乗り越えるのでしょうね。妄想力逞しく、子育てすれば良いですね。2022/12/08
yoshida
247
兄の死により心を閉ざした高校生の亮太。亮太に声を掛ける同級生の小春。高校生から進学し、社会に出た亮太と小春。そこには想像もしない出来事が待ち受けていた。本当に人を愛するということ。ここまでの信頼を築くこと。亮太と小春の何気ないやり取りに、胸が熱くなり、涙腺が緩む。沢山の伏線が綺麗に回収される。今までに読んだ瀬尾まいこさんの作品の中で一番好きかもしれない。私も亮太と小春のような信頼しあえる関係を築いたいなと思う。まあ、今は相手探しからですね。亮太と小春のこれからに沢山の幸せが訪れる事を願う。素晴らしい名作。2017/08/11
おかむー
170
『あと少し、もう少し』はスポーツものなので別枠として、これまでの瀬尾作品のなかでもいちばんしっくりきた一冊でしたよ。『よくできました』。主人公・葉山とヒロイン・上村(ふたりとも後半にならないと下の名前が出てこないので苗字のほうが違和感がない)の高校からの十年弱の日々が深刻なようでどこか柔らかいとぼけた空気感で描かれる。前半では“たそがれる”ところも含めてエキセントリックな葉山を受け入れていた上村が頑なさをさらけ出す後半、不器用すぎる葉山がそれでも懸命に上村と向き合う姿が微笑ましくも頼もしい。2016/04/19