内容説明
IT企業のカリスマ経営者である祐馬。仕事に没頭する日々の中、かつての共同創業者であり親友の航平が、故郷で死んだことを知る。同じ頃、会社では不正取引が発覚し…。何もかも失った祐馬が、友の愛した故郷、家族や仲間達のため選んだ道とは―人生は失くしてから気づくことばかり。孤独の先にかけがえのない大切なものを見出す感動小説。
著者等紹介
山川健一[ヤマカワケンイチ]
1953年千葉市生まれ。東北芸術工科大学芸術学部文芸学科教授、学科長。77年「鏡の中のガラスの船」で群像新人文学賞優秀作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
31
プロットは読んだ。登場人物のデッサンも一応頭に入れた。泣く準備もできた。あとは、曳山の胸をうつ情景を。二人の男の間で揺れる陽子の抗えない魅力を。彼女が大切にした航平との日々を。祐馬の中に見いだしたものを。航平の深い愛を。友に伝えたかった込み上げる想いを。祐馬の弱さと甘えを。航平への静かな憧れと嫉妬を。孤独な闘いを。喪ったものへの焼けつくような懺悔を。瞳の父への矛盾する切ない愛を。曳山を奪った武田のどす黒い醜悪を。人々の愛おしさを。曳山の心を震わせる真の誇りを。さあ、読ませてほしい。ここから続く本編で! 2015/12/02
康功
29
地元を舞台にした映画が上映される前に、山川 健一さんのノベライゼイションを読んでおこうと思いました。、、、人生は失ってから気付く事ばかり、、、主人公、祐馬も沢山のかけがえのないもの、友人を失ったが、大切な事を見出すことができた。映画の中に地元の秋祭り。特別な感慨を味わえそうです。2016/01/05
えりっち
21
知人に薦められて読みました。映画化と言うことでキャストに当てはめながらの読了。男の人はお互いの想いをあまり口に出さない分、心の奥で繋がってる何かを感じてるのかな?と美化しながら読みました(笑)2016/02/17
donboo
16
男友情という一つの像が描かれている。友に認めた手紙が印象的だが、設定がチョット強引な感じがするのは映画のノベライズだからか。映像表現では丁度良い感じなのかもしれない。いつか観てみようと思う。2016/07/05
みきだい
15
2016年に映画化されるそうで、各場面がスクリーンに映る様子を想像しながら読み進めました。回想やつながりやときれいに描かれることでしょうが、特に最後のお祭りの場面の、夜を照らす提灯と豪奢な曳山、人々の熱気がどのように映し出されるのかが楽しみになります。綺麗な描写になればいいなぁ。終盤に向かうにつれて人とのつながりの大切さが際立っていきますが、小説としては何でだろう、ちょっと物足りなさがあるように感じました。映画や映像で描かれる方がしっくりくるように思います。地域や地元のお祭りの景色が印象的に残りました。2015/12/30