内容説明
頼むから、出て行ってくれ―そう夫に切り出されてから約10年、女ひとりで必死に生きてきた。金のためには春も売った。サディスティックな年下男に美しい体を凌辱されても耐えた。ところが39歳の私を襲ったのは末期癌の宣告。絶望、怒り、恐怖、あらゆる激情が去ったあと私はある人に赦されたいと強く願った…。女の性の悲哀を描く傑作長編。
著者等紹介
大石圭[オオイシケイ]
1961年東京都生まれ。法政大学文学部卒。93年「履き忘れたもう片方の靴」で第三十回文藝賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そのぼん
38
ホスピスで死を間近にした女性が主人公の物語でした。大石圭先生の作品といえばホラーのイメージが強いですが、今回は全くホラー要素のない、ひとりの女性の人生を見つめていくような作品となぅていました。どことなく優しい雰囲気で、ラストはなかなか感動的でした。2013/02/11
篠田@書店員復帰を目指し中!
9
癌という病気をテーマに官能と鬼畜と切なさ、人間の『生』を絶妙に織り交ぜ、新境地を見出したのが今作品ではないかと思う。性描写の部分はエロいのに上品さや美しさがあり、このような文章大石圭にしか書けない気がする。最後のページは非常によかった。大石先生と奥様の生みだした渾身の一冊は儚く、美しかった。2012/12/24
いっちゃん
8
末期ガンの話は興味深かったけど、無理矢理エロを絡めてこなくてもよかった気がする。交通事故で突然亡くなるのと、最後を知り、過ごすのとどちらが幸せなのだろう。まわりは、病気の方が気持ちの整理がつく気はするけど。後々、色々考える。2014/10/14
おうさま
4
笑子は一体何に赦されたかったのだろう。娘だけじゃないよなぁ。おそらく自分で自分を赦したかったんだろう。赦せないのは元旦那だな。あれはナイな。最後の最後でちょっとだけ救われたが、悪感情しか残らなかった。2014/09/06
柴胡
3
悲しい本だな・・・2015/01/20