内容説明
田中角栄は、大正七年に新潟県刈羽郡二田村(現・西山町)に生まれた。吃音に苦しむ少年時代、軍隊で苛められる青年時代をおくるが、二十八歳で国政の舞台に登場するとたちまち頭角を現し、やがて小学校卒の革命的政治家として永田町に君臨する。三十年以上にわたり日本を支配する道路特定財源などの戦後システムはいかにつくり上げられたのか。
著者等紹介
津本陽[ツモトヨウ]
1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年、「深重の海」で第七九回直木賞、「夢のまた夢」で第二九回吉川英治文学賞を受賞
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感想・レビュー
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まつうら
27
金権政治家にして闇将軍。田中角栄にはそんなイメージしかなかったが、いろいろな作品に角栄やロッキード事件をモデルにしたと思しきエピソードが登場するのを目にしていると、だんだん気になってきて本書を開いた。読後まず思ったことは、とても惜しい人材をなくしてしまったこと。戦後から現在までの間、これほどまでに実務的な政治家がほかにいただろうか? テレビ局の県域免許、ガリオアエロア問題、日米繊維摩擦、日中国交正常化・・・。これら数々の功績は目覚ましいばかりだ。(下巻に続く)2022/01/06
ライアン
24
あの田中角栄も選挙出立ての頃は喋りが上手くなかったこと、東京出てから職を転々としてるのは意外。あと土建屋だった角栄が越後交通を持つことになったいきさつなどがわかったのは良かった。しかしなかなかロッキード以前から結構えぐいことをやっているのね。抜群の記憶力と人の心をつかむ上手さは凄いの一言。この後の下巻も楽しみ2016/10/17
RED FOX
17
一度聴いただけの浪曲を再現できる暗記力。極貧の豪雪地帯を生き延びる忍耐力。農業、土木、馬回し、製図、なによりもトラブル解決力、コンピュータ付きブルドーザー田中角栄の生まれから郵政大臣までの上巻。面白すぎる(^^)2019/08/13
キリン
9
かなり前に読んだ再読▼上巻は角栄が政治家になる前のエピソードかという記憶だったけど、意外に早い段階で政治家になっていたなぁ▼雪に埋もれて死にかけたとき、おばあちゃんのスコップが脳天に当たって流血で探し当てられた事や、東京に出てきて電車に轢かれた事など、まるでこち亀の両さんのようなエピソード!▼下巻は清濁併せ呑む政治家としての話が色濃くなる★4.02024/04/29
Kentaro
9
三十年以上にわたり、日本を支配する道路建設に関わる公共投資の仕組みはどうやって作り上げられたのか、そんな過去の田中角栄像をつまびらかにした内容である。 ロッキード事件の判決後の新潟選挙区で越山会を中心に二十二万票を集めた田中角栄はどういった人生を過ごしてきたのかを解説する。 この大得票は、田中を選出している新潟県民をまだ目が覚めないのかと冷たく決めつけたジャーナリズムへの反発でもあった。 越山会の大半は角栄がロッキードから五億円をもらったとしても、選挙のために使ったのだと見ていた。2018/04/21
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