内容説明
タクシードライバーの浜田英二のところに、ある日一人の女性がやって来る。ミラーごしに見た懐かしい面影。彼女は「兄が死んだ本当の理由を知りたい」と呟いた。四年前、妻と友が殺された。ヤマを踏み損ねた代償だった…。胸に去来する気持ちを殴り捨て、男は再びコルト・パイソンの引金をしぼる。本格ハードボイルド長編。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年佐賀県生まれ。中央大学法学部卒。83年「眠りなき夜」で吉川英治文学新人賞、85年「渇きの街」で日本推理作家協会賞を受賞する。91年に南北朝動乱を扱う歴史小説「破軍の星」で柴田錬三郎賞を受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
臨床心理士 いるかくん
48
主人公はタクシーの運転手。年頃の娘と二人暮らし。良き父、普通の勤め人を装っているが、かつては数人にの仲間と共にヤバイ仕事をしていた。ある日、かつての仲間の妹が、自分達のかつてのある仕事を探っていることを知る。深く知ってしまえば仲間の妹に危険が迫ることは間違いない。死んだはずの心の中の獣を再び蘇らせる主人公達。一層の深みを増す、北方ハードボイルド。2015/01/20
GAKU
40
4年前に立野が死んだ。あの時の過去を捨てきれずにいる浜田と鈴川。立野の妹が過去の真相を知ろうと動き始めた時、事態が動き出す。浜田と鈴川は過去にけじめをつけるべく立ち向かう。浜田の男としての生き様、内に秘めた獣が何とも言えない。相棒の鈴川も哀しく、渋い。浜田と娘との描写、鈴川と愛人達との描写も良かった。鋭利な短文でぐいぐいストーリーに引き込まれて行く。北方ハードボイルド真骨頂満載の作品で、今回も堪能させていただきました。2016/03/04
はな
9
うーん…ハードボイルドにしたい意図は読み取れたが…結局何がやりたったのかはっきりせず渋さが浮きまくった印象であった。残念。2018/07/14
たーくん
5
タクシードライバーの浜田英二のところに、ある日一人の女性がやって来る。ミラーごしに見た懐かしい面影。彼女は「兄が死んだ本当の理由を知りたい」と呟いた。四年前、妻と友が殺された。ヤマを踏み損ねた代償だった…。胸に去来する気持ちを殴り捨て、男は再びコルト・パイソンの引金をしぼる。本格ハードボイルド長編。2020/07/28
タナー
5
浜田英二、タクシー・ドライバー。血の繋がっていない娘・夏子と二人暮らし。料理も家事も手を抜くことのない、いい父親。夏子もそんな浜田を実の父親のように、いや、それ以上に慕っている。そんな二人の穏やかな生活の中に、ある日"過去"が割り込んでくる。4年前に死んだ仲間・立野の妹だった。かつて立野、鈴川と三人で組んで"仕事"をしていた浜田は、鈴川とコンタクトをとるのだが....。 簡潔で無駄のない文章、粋な会話、そしてそれぞれの登場人物の、生きることへの拘り。北方氏だからこそ描ける、リアルなハードボイルドの傑作。2019/10/18