内容説明
野党第一党の高月馨は窮地に追い込まれた。敵対関係にありつつも、ある法案については共闘関係にあった与党議員・朝沼侑子が自殺したのだ。「自分の派閥のトップも説得できていなかったの?法案を通すつもり、本当にあったの?」死の前日の朝沼への叱責が彼女を追い詰めたのではないかと批判が集まり、謝罪と国対副委員長の辞任を迫られてしまう。だが、長年ライバル関係を築いてきた高月には朝沼の死がどうも解せない。朝沼の婚約者で政界のプリンス・三好顕太郎に直談判し、共に死の真相を調べることに―。
著者等紹介
新川帆立[シンカワホタテ]
1991年、アメリカ合衆国テキサス州ダラス生まれ、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
442
新川帆立はエッセイしか読んでいないが、骨太のどっしりとした小説で驚いた。政界という男世界、否、爺世界と言うべきか、そこでトップを目指す女の闘いを描く。発端はある女性議員の自殺。続けて起こる与党派閥重鎮の暗殺。物語は女性議員の秘書、女性政治記者、女性市議と視点を変えながら二つの事件の謎を追う。権力闘争。裏取り引き。空いた二つの議席を巡る補欠選挙選に雪崩れ込んでいく。女性市議が国政に打って出る。過酷な選挙戦。女性市議の当選なるか。そして最後に二つの事件の驚くべき真相が。面白く非常に読み応えのある作品だった。2025/05/05
ユースケ
307
ベテラン女性議員と、女性秘書。女性政治記者、女性市議会議員。政界を舞台に、それぞれの立場で奮闘する物語。まさに女の国会。これ以上でも、これ以下でもないタイトルといえよう。 実は初の新川帆立作品を読んだわけだが、本人がミステリー作家とカテゴライズされることを好まない理由(Wikipedia情報につき真偽は不明)がわかった気がする。それはオチがそれなりのタイミングで読めたという野暮なものではなく、知られざる国会の実情が生々しく描かれ、それらがわかるだけでも十分面白いのだ。2025/08/16
やっちゃん
297
ドラマの脚本のような安い作品かと思いきやなかなかに深くて重い。お仕事小説としても面白いしミステリとしても綺麗に伏線回収して見事。「ねえよ」とも思ったけど笑。地方議員のアレコレ読むのはリアルで面白かった、100票おじさん笑。顕太郎がどうしても進次郎の顔になってしまう笑2025/06/03
tetsubun1000mg
285
筆者の作品では国会議員、代議士秘書、市議会議員の目線から女性が仕事をする苦しみが描かれていきます。 冒頭は司法試験資格が取れずに、議員秘書となり物語が始まる。 筆者の同級生への取材からのエピソードかなと思われるが、周囲の男性どもから色んな嫌がらせを受けているんだね。 野党国会議員の高月馨がメインで進んでいくが政党、派閥などのしがらみもあって物語は進行。 終盤では女性市議を野党で担いで衆議院選挙を戦わせるところが一番の盛り上がり。 ただ最後が捻りすぎたのか、どっか違った方向へ行って置いていかれた感じ。2025/03/25
旅するランナー
274
女性衆議院議員、女性市議会議員、女性秘書、女性新聞記者。ライバル女性議員の死の謎をそれぞれの立場で調べるうちに、ある真相に行き着く。男社会での奮闘と駆け引きが、息つく隙もない展開の中描かれ、力強く面白い小説になっています。2024/06/23