出版社内容情報
登場人物全員、同姓同名。
大胆不敵、ノンストップミステリ。
これは、乱歩賞作家からの挑戦状。
内容説明
大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒りに駆られた女児惨殺事件の犯人が捕まった。週刊誌が暴露した名は「大山正紀」。報道後、サッカー推薦の枠から外れた高校生の大山正紀を始め、不幸にも殺人犯と同姓同名となってしまった“名もなき”大山正紀たちの人生に影が落ちる。そして7年後、刑期を終え大山正紀が世に放たれた。過熱する犯人批判、暴走する正義、炎上するSNS。犯人に名前を奪われ人生を穢された大山正紀たちは、『“大山正紀”同姓同名被害者の会』に集い、犯人を探し出そうとするが―。大山正紀たちには、それぞれの秘密があった。どんでん返しどころじゃない!前代未聞のノンストップミステリ。
著者等紹介
下村敦史[シモムラアツシ]
1981年京都府生まれ。2014年『闇に香る嘘』で江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。数々のミステリランキングで高評価を受ける。15年「死は朝、羽ばたく」が日本推理作家協会賞(短編部門)の、16年『生還者』が日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)の候補になる。重厚な社会派ミステリからノンストップエンタメまで幅広い分野で著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
515
下村 敦史は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、企画設定の勝利、面白く一気読みしました。大山正紀と言う、いそうであんまりいない氏名が絶妙です。 大山正紀(おおやま まさのり)で検索したら、本書関連と大山正紀(おおやま まさき)氏のフェイスブックがヒットしました。 https://ja-jp.facebook.com/masaki.ooyama.92020/10/12
青乃108号
385
女児殺害犯と同姓同名というだけで、様々ないわれのない辛い思いをしてきた大勢の大山正紀。SNSの世界で、現実の世界で、彼らの背負ってきた十字架は想像を絶する物だった…もっともらしいテーマと大義名分を振りかざしてはいるものの、著者の狙いは大勢の同姓同名者を登場させ、読者を混乱させ手玉にとってほくそ笑む事にこそあったのではないか。その上、時系列にさえ細工をして、ここまでやっては卑怯ではないのか。SNSでの誹謗中傷の問題など大山正紀どうしで延々と討論させたりしていかにも社会問題を提議した作品に見せかけてはいるが。2024/09/22
ウッディ
372
少女を惨殺した犯人大山正紀が捕まり、名前がネットで拡散し、犯人と同姓同名の「大山正紀」たちの生活が一変する。凶悪事件と起こした犯人と同姓同名の人たちの人生が歪められるという観点は新鮮でした。「同姓同名被害者の会」が結成され、多くの大山正紀が登場すると頭が混乱しましたが、その混乱を利用した叙述トリックも駆使し、意外な真犯人を描いた意欲作だったように思います。ネットの同調圧力の恐怖もさることながら、この本が話題になることで、リアルな世界にいると思われる大山正紀さんは、どんな感想を持つのかも気になりました。2021/06/11
旅するランナー
321
もしも世間を騒がせた犯罪者と同姓同名だったら、というシチュエーションスリラー小説。登場人物が全員大山正紀なので、ややこしいことこの上ない。でも、そこが面白さでもあります。SNS上で起こる一斉非難・偏見・差別などの社会問題について考えさせられる内容にもなっています。読み進めるのが、結構疲れます。2020/12/20
しんたろー
320
前作『法の雨』の感想で「下村さん復活!」と書いた通り、本作も練られた社会派ミステリになっていた。幼女殺人犯と同姓同名で理不尽な迫害を被った者たちの物語は、その発想自体が「そう言えば、そうだろうなぁ」と思わされる。SNSの闇に関しては多くのサスペンスで取り上げられているが、著者らしい視点も入っていて改めて考えさせられた。同名を逆手に取った叙述トリックでもあるので映像化は難しいが、二転三転する真相は面白く、最後はイヤミス風味もあって、新味を意識した挑戦を感じた…「敦史ラブ」の読友さん達が、どう感じるか楽しみ♬2020/11/18